おやつのサブスク通販「スナックミー」の正体 「リアル店舗」の展開へとなぜ踏み切ったのか

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「その都度100種類以上のおやつをお客様ごとに組み合わせを変えて詰め合わせボックスをつくるわけですから、非常に複雑です。現在はピッキングスタッフに音声で指示するシステムを採用していますが、まだ完成形ではありません。作業効率の向上は今後も課題となります」(服部氏)

そのほか、同社のビジネススタイルはすべて、「おやつをいかにおいしく、楽しく食べてもらうか」の発想からつくりあげられている。

テクノロジーのみならずアナログも活用

そもそもサブスクリプションは継続率を維持するために、お客と関係をつくりながら利益を得ていくビジネスモデルだ。スナックミーではさらに、LINEを活用した親密なコミュニケーションによっておやつの評価やリクエストなどのデータを集積。品揃えや新商品開発に生かしているそうだ。

またテクノロジーのみならずアナログも活用するのがスナックミーのユニークな点。ネットのみならず電話でもインタビューを行い、満足度を調査しているとのことだ。

「というのも、データとして定量化すると見落とされるニーズがあるからです。例えば『鮭皮チップス』という商品はデータだけ見ると人気が低い。しかし、8種類の詰め合わせすべてを鮭皮チップスにしてほしい、というお客様もいます。少数派ですが、すごく気に入ってくれているお客様がいるわけですね。こうした声を拾いながら、ニッチ商品も充実させていきたいと考えています」(服部氏)

今回のリアル店舗展開も、お客とのアナログなコミュニケーションを大切にする方針が出発点となっている。同社ではこれまで年に2回のペースでオフラインイベントを開催。試食体験もでき、スナックミーの世界観をリアルで伝える機会として、お客からはいずれも反響が高かったものの、コロナにより開催できなくなってしまったという。

目玉商品「ディスカバリーポーチ」(479円)。自分に合うおやつを発見してもらうというコンセプトで、7種類のおやつを詰め合わせている。店内で食べ、購入する商品を選ぶ参考にしてもよい(筆者撮影)

「当社の事業において、お客様とお話しする機会は欠かせません。当社では、システムからロジスティクス、デザインなど、事業運営に関わる多くのことを自社内で行っており、社員一人ひとりが何らかの担当を持っています。『おやつと世界を面白く。』という、当社の理念のためには、それらの担当者が直接お客様に接し、近い距離感で業務にあたることが重要だと考えているんです。また、コロナをきっかけにお客様は増えましたが、スナックミーを知らない人、アプローチできていない人も多くいます。直営店は『おやつギャラリー』というコンセプトのもと、“おやつ体験”の価値を高める場にしていきたいと考えています」(服部氏)

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