愛知「豊橋」にブラックサンダーコラボが多いワケ 1日3万個を売り上げる名物になった「あん巻き」
弊社は1950年に甘味茶屋として創業しました。私は3代目になります。その後、大福やおはぎなどの菓子の製造をするようになりました。あん巻きは20年ほど前に弊社の専務が開発して、今では年間100万個を売り上げる弊社のメイン商品となっています。まずは食べてみてください」と、お亀堂の代表取締役社長、森愼一郎さんは「ブラックサンダーあん巻き」を出してくださった。
生地の表面にはブラックサンダーを表すイナズマの焼印が押されていた。生地のキメが細かく、見るからにやわらかそう。巷の和菓子店やスーパーで見かける、どら焼きのような生地を使ったあん巻きとは完全に一線を画している。
では、実食!ん?あれ?思っていたのと違う!生地がフワフワでモチモチ!これまであん巻きを何十回と食べてきたけど、生地のこの食感は初めてである。そして、餡。あん巻きゆえに粒あんをイメージしていたが、巻いてあるのは濃厚なチョコクリームだった。その中に砕いたブラックサンダーが入っている。
もっちりとした生地とチョコクリームのコク、ブラックサンダーのザクザク感。これは和菓子なのか。それとも洋菓子なのか。意見が分かれるところだが、すべてが見事に調和している。いったい、どんなきっかけで誕生したのだろうか。
「2017年にマクドナルドとブラックサンダーがコラボした商品をテレビで見て、あん巻きとブラックサンダーを合わせたらおいしい商品ができるのではと思ったんです。それですぐに有楽製菓の河合伴治会長に直談判しました」(森さん)
ブラックサンダーのザクザク食感をいかに演出するか
実は、河合会長は森さんの大学時代の先輩。しかも、本社がある東京ではなく、豊橋で暮らしているということもあって、この当時は頻繁に会っていたという。河合会長の豊橋愛は後ほど触れるが、「地域の皆様に喜んでいただけるなら協力しますよ」と森さんの申し出を快諾した。こうして2017年8月から開発がスタートした。
最初に立ちはだかった壁は、味の要となる餡だった。ブラックサンダーを粉砕してチョコクリームに混ぜていくのだが、大きすぎると生地を巻いたときに表面が凸凹になってしまうのだ。逆に小さすぎるとザクザクとした食感がなくなる。その調整に四苦八苦した。
「ミキサーにかけると粉々になってしまい、ブラックサンダーらしさを損ねてしまう。いっそのこと手作業で加工することも考えました。そうなると、生産量は限られてしまいます。そんなとき、“鬼まんじゅう”のサツマイモを角切りにする機械を試しに使ってみたところ、大きさ、食感ともにベストなものが完成しました」(森さん)
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