落日のブルーレイディスク、変容する記録メディア 


記録メディアの主役交代 国内大手も減産を表明

競合のHDは年々容量を増し、カーナビゲーションやビデオカメラなど幅広い電子機器に用いられるようになった。USBメモリやSDカードなどの半導体メモリも数十ギガバイト単位へと高容量化し、価格も下落。単なる大容量化では消費者の心はつかめない状態になっていた。

コピーガードが厳しくなったのも顧客離れに拍車をかけた。DVDはレンタルしてきた映像ソフトをコピーするというニーズがあったが、BDではガードが強化されたため、こうした需要に対応できなくなった。

加えて、大容量のHDDを搭載したレコーダーが台頭。録画した番組を見終われば簡単に消せるようになり、「BDにわざわざ記録しなくても、事足りる場面が増えた」(松岡氏)。日本以外の国で録画文化が根付いていないのも、BDの普及拡大の妨げとなっている。

「もはや事業のピークは終わった」(三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長)との言葉どおり、BDの浸透が進まないまま、今後は光ディスク市場の衰退が避けられそうにない。国内で唯一、光ディスクを生産していた太陽誘電が昨秋、CD、DVDの大幅な減産を表明したのはその象徴だろう。欧米中心に光メディア市場で世界最大手の三菱化学メディアも事業の軸足を、光ディスクからHDDなどの分野に移しつつある。

中にはTDKのように、両面で1テラバイトの超多層記録型光ディスクを開発し、需要を取り戻そうという動きもある。が、光メディアを使用する場面が減る中、単なる高容量化はテコ入れ策として不十分だろう。BDの挽回策を欠いたまま、光メディアは凋落の一途をたどっている。

(伊藤崇浩、武政秀明 =週刊東洋経済2011年2月19日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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