落日のブルーレイディスク、変容する記録メディア
日本記録メディア工業会によると、BDは06年に初めて市販された。10年(予測)の市場規模は世界全体で約1億枚に達し、前年から2倍以上に増えてはいる。
が、この数字はソニーやTDK、日立マクセルなどのBDメーカーの期待には到底及ばない。発売から4~5年で、年間数十億枚の世界市場を作り出した記録型CDやDVDに比べても亀の歩みだ。今後も爆発的な伸びは見込めそうにない状態だ。
BD対応機器の普及自体は進んでいる。家電製品の販売動向を調査するGfKジャパンによると「BDレコーダーは昨年、国内で約457万台が売れ、全体の8割弱を占めた」(ITビジネスユニットの岩渕真貴統括マネジャー)。パソコンも販売台数の約25%、テレビも同約1割がBDドライブ搭載モデルだった。
にもかかわらず、記録型BDの伸びが冴えないのは、CDやDVDが登場したときのような“追い風”に恵まれなかったことがある。
記録型CDが出始めた00年代前半はデータ保存用に加え、音楽CDをコピーするニーズが普及を後押しした。続くDVDは、初期型で1枚4・7ギガバイトと一気に大容量化を実現。従来、アナログ方式でVHSテープに記録していた映像をデジタル方式で記録したい、という消費者のニーズを取り込むことができた。
そして06年に満を持して登場したBD。記録容量は25ギガ~50ギガバイトにまで拡大し、アナログからデジタル放送への移行が進む中、ハイビジョン番組やデータ保存用として格好の媒体となるはずだった。
ところが、その間に環境は激変した。TDKのストレージメディアビジネスグループ企画部の野坂稔リーダーは、「光ディスク以外の記録媒体で高容量化、低価格化が進んでしまった」と分析する。