日本に有事が起こったら一般市民は避難できるか 現状の法的な枠組みは自然災害対策と大差がない

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以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):与那国島の取材から(南西諸島などの)離島からの住民避難にさまざまな課題があるのが見えてきた。有事の島外避難は国の対策本部設置後に詳細が決定されるという。はたしてそれで時間的に間に合うのか。

新藤義孝氏(自民党政調会長代理、衆院議員):国民保護法では国が(避難の)指示をすることになっているが、その大前提は市町村が作る計画だ。それを県庁がまとめ、国が承認する。与那国島が心配し、沖縄県の要請に国が動かないという事実があるなら、すぐに対応させなければならない。

「避難力」を議論の焦点に

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):国民保護法の中身は、通常の一般行政の対応になっている。自然災害対策とあまり変わらない。ロシア・ウクライナ戦争を見れば、どう考えても実力組織を持たない一般行政が一般市民(非戦闘員)を避難させるのは無理だ。反撃力も、抵抗力も、攻撃力も重要だが、一般市民の犠牲をどれほど少なくして避難させるかが、国防の二本柱として重要なのに、これまで反撃力ばかりが議論されてきた。沖縄戦を考えれば「有事の一般市民の犠牲はやむをえない」ということは絶対あってはならない。ここはぜひ、政府、与野党にお願いしたい。自衛隊に攻撃力、反撃力の部隊だけではなくて、有事に一般市民を保護、避難させる部隊を島国、日本だから作らなければいけないのではないか。日本は、国外退避できない。領土も狭く、安全地帯も少ないわけで、反撃力と同時に「避難力」を議論の焦点にしてもらいたい。

新藤氏:前段の話はとくに重要だ。橋下さんは、国民保護法は平時の法律であり、一般の災害対処と同じだと指摘したが、まさにそのとおりだ。憲法改正、緊急事態条項(の設置)はそのためにある。有事の際は、移動の自由にある程度制限をかけても強制的に移動してもらわなければならない。それはわが国の法律にはない。だから緊急事態条項を設定しなければならない。立憲民主党は「(緊急事態条項は)必要ない」「国民保護法に(住民)保護態勢がある」というが、それは災害や感染症という一般「平時」の状態だ。有事の際に命令に従ってもらい、皆がきちんと避難をする。いざというとき、本当に厳しいときはその態勢を作らなければならない。

(画像:FNNプライムオンライン)

後藤祐一氏(立憲民主党役員室長、衆院議員):台湾にも2万5,000人ほどの日本人が住んでいる。台湾有事の際、どのように救出するのか。当事国の同意がないと自衛隊は出せない。台湾有事での当事国の同意とは、台湾の同意なのか、どこの同意なのか。政府に尋ねても答えない。憲法改正の議論は大事だ。しかし、台湾有事での台湾にいる日本人の救出、あるいは朝鮮半島有事での韓国在住の日本人の救出、国内、与那国、あるいは先島諸島全体、沖縄全体かもしれない、この救出のキャパシティー(対応能力)をきちんと持つことの議論が先ではないか。

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