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身売り、廃業に悩む「下請け運送業者たち」の悲鳴 コロナ禍や残業規制対応で経営は厳しさを増す

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後継者不足、国内市場の縮小、コロナ禍、そして残業規制への対応。中小・零細の運送事業者に、厳しい現実が突きつけられている。

厳しい経営環境の下、中小事業者は難しい判断を迫られている(撮影:今井康一)

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過重労働が放置されてきたトラックドライバー。物流業界は2年後に残業規制の適用が待ち構えており、働き方改革は待ったなしだ。
デジタル特集「崖っぷちの物流」(全7回)では、過酷なドライバーの働き方や、物流会社、荷主の対応などについて焦点を当てた。第5回は「身売り・廃業に悩む『下請け運送業者たち』の悲鳴」。

第1回:限界寸前、疲弊するドライバーたちの悲惨な証言
第2回:最大手ヤマトが見据える「物流2024年問題」の焦点
第3回:置き配で「罰金5万円」、ドライバー搾取の深刻問題
第4回:物流業界の「下請け構造」は、DXで打破できるか
第6回:30分以内にお届け「爆速クイックコマース」の衝撃
第7回:アスクル、ローソンが始める「配送現場」の大改革

ある中小運送会社を経営する男性が企業譲渡に関するセミナーに行ったところ、同業の知り合い数人に出くわした。当初は男性も譲渡を考えていたが、「幸いその後、子息が自ら経営を継ぐと言ってくれた」という。

別の運送事業者も最近、事業の継続に頭を悩ませている。「当社のドライバーの平均年齢は50代半ば。このまま推移すると10年後に60代半ばになる。後継候補がいても『経営を継げ』とは言えない」。

過酷な労働環境などから、後継者不足が指摘されてきたトラック運送業界。2024年の残業規制適用を前に、身売りや廃業を検討する中小事業者がにわかに増えている。

コロナ禍で下請けは仕事が急減

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