養老渓谷が旅ヨガ、和アロマで人を集められた訳 地域おこし活動に支援金、地元の若者も参画へ

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地域おこしに向けて順調なスタートを切ったかに見えたが、2019年秋、千葉県を最大風速57.5メートルの強力な台風15号が直撃した。この台風は大規模な停電、建物被害、倒木などかつてない被害をもたらした。

そして冬から2020年以降はコロナ禍である。大きな災難が続き、人を呼んで旅ヨガをはじめとする地域おこし活動を行える状況ではなくなってしまった。事業は足踏みを余儀なくされ、構想は大幅な練り直しが必要になってしまった。

自生する香木・クロモジから生まれたアロマブランド

東京などから人を呼び集めて行うイベントに代わる新たなプランを考えなければならない。そこで考えたのが「モノからの発信」。注目したのは地元の香木・クロモジだった。クスノキ科の落葉低木のクロモジは、枝が高級楊枝の材料として使われているほか、抗ウイルス作用があるとの研究結果もあり、和製ハーブ、国産アロマとして注目されている。

「あるとき里山を散策中に森林作業を終えたおじいさんがお茶を飲んでいて、それがクロモジのお茶だったんです。飲んでみたら優しい味がしました。ちょうど野草を使ったアロマを考えていた時で、そのおじいさんに相談したら『クロモジがいいよ』と勧めてくださったんです。

この辺りのクロモジは、江戸時代は船で養老川を下り江戸湾(東京湾)から日本橋に運ばれていました。里山は生産の拠点だったのです。そうした歴史を振り返り、改めて里山のポテンシャルを実感しました。地域を活性化するのに新しいものはいらない、地域の資源を主役にしてこそ意義があることを再認識しました」

 試行錯誤を経て2021年秋、里山のポテンシャルと守るべき生態系の情報を発信する「里山アロマ」という新たな価値創造をめざして、アロマブランド「Ya-souju~野奏樹~」を立ち上げた。幹や枝は乾燥させて「オーガニック クロモジティー」に、葉と実は爽やかな香りを楽しむ「クロモジ アロマスプレー」として商品化した。

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