養老渓谷が旅ヨガ、和アロマで人を集められた訳 地域おこし活動に支援金、地元の若者も参画へ

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「旅ヨガは地域おこし協力隊に着任する前から始めました。最初は、こちらでの認知度はゼロでしたから、参加者は都内のスタジオでレッスンを受けていた女性と私の2人だけでのスタートでした。徐々に賛同してくれる方が増えていきましたね。

養老渓谷のある、みなみ市原の里山風景(筆者撮影)

位置付けとしては、観光と移住のあいだにアプローチするコンテンツです。いきなり移住となるとハードルが高いじゃないですか。それでヨガを通じて里山文化に触れていただくことで、次のステップに進んでもらえたらという狙いでしたね」

下町の人情文化に触れてきた掘さんにとって、田舎のウエットとも思える人間関係はそれほど苦にはならなかった。むしろ地域のおあばちゃんたちとの触れ合いは、学びの連続で大きな刺激を受けたという。

里山の知恵を伝授される

「この辺りは警察署も消防署もないから、自分たちで地域を守るという意識が強いんですね。最初のうちは歩いているとジロジロ見られました。お年寄りの方にとっては、見知らぬ人が歩いていることは脅威なんですね。だから、こちらからこまめに出向いていって『今日は体調どうですか』といったやり取りを重ねていくうちにようやく打ち解けてきてくれます。

いったん信頼関係ができれば、なんでも教えてくれます。たとえば漬物。おばあちゃんたちはみんな、それぞれがクラフトマンシップを持っていて、自分のうちの漬物がいちばんおいしいという自負がある。100年物のぬか床を持つおばあちゃんは別格ですけどね(笑)。

竹の話も印象的でしたね。農作業などに使う竹にしても、切り出すのは2月までと言うんです。なぜかと聞いたら、3月になると水分を含んで傷みやすいからだと。教えてくれることがすべて理にかなっているのです。里山の知恵が詰まっている感じですね」

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