保育所の抜本改革こそ、待機児童解消策の原点だ


 一方、幼稚園にも同様の業界団体が存在し、変化を望まない構図は類似。保育所には必須の給食提供や長時間保育を嫌い、定員割れでも幼稚園を続けたいと願う関係者は多い。

彼らの行動原理は、民主党が政権の座に就いてからも変わらない。政府は昨年6月、子育て支援策に関する総合的な改革案をまとめた。その目玉政策の一つが幼保一体化だった。その後、昨秋には改革案の関連法案を今年の通常国会に提出するため、具体的な最終案を詰める作業チームが発足した。ところが、「民主党の政治家は議論を官僚に丸投げし、厚労省の官僚が完全に仕切っていた」(鈴木亘・学習院大学教授)とされる。これでは、幼保一体化の中身が骨抜きになるのは明らかだ。

参入障壁をなくせ

原点に戻って考えれば、そもそも幼保一体化は待機児童を解消するための一つの手段にすぎない。学習院大学の鈴木教授は、「待機児童を解消するため、幼保一体化という“変化球”を投げたら議論が迷走し、かえって目的は遠のいた」と言う。

ならば、幼稚園を転換させるという変化球ではなく、ストレートに保育所への新規参入を増やすことで、待機児童解消を目指すべきだ。

現在、保育所は誰でも自由につくれる。だが、認可保育所になるためには、実質的な参入障壁が多く存在し、株式会社やNPO(非営利組織)の参入を拒んでいる。

最大の参入障壁は、株式会社の保育事業に関する配当や投資への規制である。株式会社が保育事業から得た収益を配当や他事業への投資に回すと、運営費の補助金を受けられなくなるというものだ。収益を配当に回せなければ、株式発行による保育事業の資金調達はかなり難しい。

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