保育所の抜本改革こそ、待機児童解消策の原点だ


 また、認可保育所への補助金には、運営費補助金のほかに施設整備のための補助金もあるが、後者は社会福祉法人に限定されている。社会福祉法人は法人税も免除されている。

地方自治体による保育所認可にも参入障壁がある。現在、補助金支給への財政難や既存事業者の保護を理由に、認可保育所への株式会社参入を認めていない自治体が多くある。たとえば、東京23区内で最も待機児童の多い世田谷区がそうだ。

第一生命経済研究所の松田茂樹主任研究員は、「大都市圏では、新しい大型マンションができたりして、保育所需要は局所的かつ一時的に発生し、数年後にはなくなる。そうした需要に機敏に対応するため、小規模で多店舗型の保育所を展開できる事業主体を増やすべきだ」と指摘する。

現在、東京都や横浜市では基準を緩くした小規模の認可外保育所の制度を設け、認可保育所との料金格差を減らすため、補助金も出している。そこには株式会社も参入し、コンパクトな保育所を展開しているが、こうしたやり方ができるのは、財政に余裕のある自治体に限られる。

待機児童を解消するためには、幼保一体化よりも前に、認可保育所の規制を見直して参入障壁をなくし、さまざまな事業者が参入しやすい仕組みをつくるべきだ。事業者が競い合い、保育の質を高めれば、子どもや保護者のためにもなる。

(シニアライター:柿沼茂喜 =週刊東洋経済2011年2月11日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

※写真はイメージです。本文とは関係ありません。撮影:風間仁一郎
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