伊藤忠商事、「1.2兆円大勝負」の内幕

中国政府との知られざる攻防

伊藤忠・CP連合は、持ち分法の適用ができる20%を取得するべく、各方面から説得を試みた。最終的には李克強首相にまで案件が上がり、国有企業に国内外の民間資本を導入する「混合所有制」改革の推進という大義名分が優先された。李氏の遼寧省党書記時代に伊藤忠との接点があったこともプラスに働いた模様だ。「1972年に総合商社として初めて友好商社に選ばれて以来の実績」(岡藤社長)が最終的に物を言った。伊藤忠では、CITICが持ち分法適用会社となることで年間700億円程度の利益押し上げ効果を見込む。

CITICの株価は13香港ドル(1香港ドル=約15円)台で推移しており、約15香港ドルの一株あたり純資産を下回っている。国有資産の安売り批判を恐れる財政部はこの状況での株式売却にも難色を示したが、最終的には発表前日の終値に4%上乗せした13.8香港ドルで決着した。

舞台は中国以外の新興国にも広がる

CITICをめぐっては、オーストラリアで展開する、同国最大の磁鉄鉱プロジェクトの先行きが懸念されてきた。13年末から中国向け輸出が始まったが、赤字が続いている。これについては、伊藤忠・CP連合との資本提携発表と同じ20日に「2014年決算で14億~18億米ドルの減損を計上する」と公表。市場の不安心理解消を図った。

すでにCITICは伊藤忠やCPに対して、日本からの流通業の誘致や食品製造事業への進出、インフラ事業などでの協業提案を行っている。今後は、三社のプロジェクトチームでの検討が加速される見通しだ。

舞台は中国だけではなく、東南アジア、ひいてはアフリカまで広く新興国が対象になる。伊藤忠がとったリスクは確かに大きいが、中国、そしてタイの有力企業とがっちり組むことで得るチャンスもまた大きなものといえそうだ。

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