東京外国為替市場では円が対ドルで1ドル=130円台へ下落。日本銀行が国債を一定の条件で無制限に買い入れる指し値オペの運用を原則として毎営業日実施する方針を示すなど、強力な金融緩和を維持する姿勢を示したことを受け、円売りが加速。黒田東彦総裁が金融政策決定会合後の会見で金融緩和の継続や円安は全体としてはプラスとの評価を繰り返したことで、20年ぶり安値をさらに更新している。
市場関係者の見方
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト
- 悪い円安でフォワードガイダンスを変えてくるのではないかなど思惑があったが、ふたを開けてみると指し値オペの毎営業日実施で、130円突破は仕方がない
- 冷静にみれば日銀はYCC(イールドカーブコントロール)を守ると言っているだけだが、米国などがゴールデンウィーク中にどんどん金利を上げてきそうだというのがみえている中では追加緩和のようなショックを受ける
- さすがに一気にドル・円は買われ過ぎたので、どこかで持ち高調整はあると思うが、心理的節目の130円をあっさり抜けて、次のテクニカルポイントは2002年1月の135円15銭。そこまでほとんど何もない
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎アナリスト
- 130円の節目を超えたこともあるし、総裁会見でもずっと力強く緩和姿勢を維持しているので、海外勢が入ってきたタイミングでやはり円売りだということで勢いがついてしまっている
- ただ、日本の金利がこれでどんどん下がっていくことはなく、10年金利は0.25に張り付く感じだろう。日本の金利が変わらないとなると、ドル・円を動かすのは米金利で、冷静になって金利差を見ていけば、3月や4月のように1日で1円、2円とどんどんドル・円が上がっていくことにはならないのではないか
- 来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)もあるので、今度は米金融政策の方に注目が集まってくる
背景
- 日銀が指し値オペ運用明確化、0.25%で毎営業日-緩和維持
- 黒田総裁は午後の会見で、全体として円安がプラスとの評価は変えてないと発言
- 為替が短期間に過度に変動すると先行きの不確実性を高める
- 粘り強く緩和続けることで景気回復を支援することが重要
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著者:小宮弘子
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