目標を決める組織と決めない組織に出る4つの差 「目標の設定」とは「目的の切り分け」である
このように、「どのような状態・水準」を「いつまでに」実現するか、それを切り出すことが目標設定の基本だ。一見して遠い彼方にある目的を具体的に分解し、その到達に向けた中継地点を段階化すること。それがマイルストーンとしての目標の役割だ。それによって、彼方にあった目的を手元に引き寄せ、具体的かつリアルな対処を打つことができるようになる。
「困難は分割せよ」
目的を目標に分解する理由は、もう1つある。それは、16世紀フランスの哲学者ルネ・デカルトが遺した次の言葉が意味することだ。
「困難は分割せよ」
大きな問題は、それを構成するより小さな問題に分けること。その小さな問題は、もとの大きなカタマリよりもずいぶんと対処が容易なものになっているはずだ。その切り分けられた小さな問題をつぶしていくことで、いつしかもとの大きな問題をも解消することができる─そのことを、デカルトの言葉は教えている。
この原則は、目標設定においても例外ではない。一見して困難な目標もより小さな目標に分解することで、目標達成の実行性・実現可能性を高めることができる。それによって当然として、目的の成就=仕事における成果創出の確度も高まる。
このことを、先ほどの英語の例で見てみよう。目標の1つである「リスニング:海外ドラマのナチュラルな英語を聴きとれるようになる」ことの実際の難しさは、洋画で字幕をオフにするとよくわ かる。そんなときは、この「大目標」をさらに「小目標」に分けてみよう。たとえば次のように分解してみると、どうか。
●9カ月後:ネイティブが発信する英語学習動画が聴きとれる
●6カ月後:児童向けの童話が聴きとれる
●3カ月後:教科書の例文・短文が聴きとれる
●1カ月後:紛らわしいアルファベットや基本的な英単語を聴き分けられる
これなら、なんとなく「できるかも」という気持ちが湧いてこないだろうか。いきなり海外ドラマとなるとハードルが高いが、「light」と「right」の聞き分けくらいなら取り組めそうだ。
大きな目標も、このように小さく切り分けてあげることで、遠くに見えていた目標をもっと手元に手繰り寄せることができる。大きな目標を前にして途方に暮れる前に、それを小さな目標に分解して対処できないか考える─この原則は、これから大きな問題に立ち向かおうとする僕らを、きっと勇気づけてくれるはずだ。
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