コロナ関連はワクチンだけではない。飲み薬の「パクスロビド」は2021年12月以降にアメリカ内外で順次発売され、第1四半期の売上高は14億7000万ドルだった。日本では「パキロビッド」として2022年2月に製造販売の特例承認を取得している。
経口抗凝固薬の「エリキュース」や肺炎球菌ワクチンの「プレベナー」が2桁増収となるなど、コロナ関連以外の主力も堅調だった。
2022年度の通期業績についてはコロナ関連のワクチンや治療薬をはじめとした研究開発費の増加などを理由に、1株当たり利益の見通しを6.35~6.55ドルから6.25~6.45ドルへと若干ながら下方修正。一方、売上高の見通しは980億〜1020億ドル(13兆円前後)で据え置いた。そのうち新型コロナのワクチンの売上高は約320億ドル、飲み薬は約220億ドルを見込む。
モデルナもワクチン特需で業績絶好調
ファイザーと並ぶワクチン銘柄のモデルナも、5月4日に第1四半期(2022年1〜3月)決算を発表した。売上高は前年同期比3.1倍の60億6600万ドル(約7900億円)、1株当たり利益は同3.0倍の8.58ドルと絶好調だった。ワクチンの売上高は59億ドル。つまり同社の売上高のほとんどがワクチンによるものだ。
他方、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は世界的な供給過剰や需要の不確実さを理由に、ワクチンの通期売上高見通しの公表を中止した。接種が1回で済むことを売りに、従来は30億~35億ドルを見込んでいたが、ファイザーやモデルナのワクチンに競り負けた形だ。
とはいえファイザーも安泰ではない。新型コロナの感染が収束に向かえば、売上高の過半を占めるまでに成長したワクチンや治療薬の需要が減り、好業績にもかげりが出かねない。世界的な感染状況に加え、コロナ関連以外の販売や開発の動向も注視したい。
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(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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