ニコン、視界不良の中で一眼レフ新製品投入 需要下げ止まらず、ミラーレス台頭も

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スマホによるカメラ市場の侵食に加え、一眼レフ2強のキヤノンとニコンが頭を悩ませていることがもう一つある。ミラーレスカメラの存在だ。

ミラーレスは高画質と低価格を両立したことから、08年に初めて発売されて以来、普及が期待されていた。しかし、日本でこそすんなりと受け入れられて、13年にはレンズ交換式の出荷台数の40%近くを占めるまでになったものの、海外では苦戦。レンズ交換式カメラに占めるシェアは15%前後にとどまっていた。いつまで経っても市場が伸びないうえ、下手に参入すると自社の一眼レフカメラと食い合う可能性もあったためキヤノンとニコンは本格参入せずに静観していた。

海外でミラーレスに普及の兆し

ところが今年に入って、海外では普及の兆しが見えてきた。14年1~11月の海外向けミラーレス出荷台数は240万台と前年比7%の増加となっている。レンズ交換式カメラに占める比率も21%にまで上昇している。

このままミラーレスの需要が拡大していけば、キヤノンとニコンはどこかのタイミングで本格参入する必要がある。しかし、当面はまだ様子見というのが両社の姿勢のようだ。D5500も小型・高性能という点では、ミラーレスと競合する可能性がある。しかし、その点について質問すると「D5500はファインダー撮影が優位点だ」(ニコンの楠本滋氏)と一蹴された。

2強なきミラーレス市場では、ソニーがフルサイズセンサーを導入した「α7」を投入するなど奮闘。現在では5割弱のシェアを取っているとみられる。たしかにニコンとキヤノンは他社とは一線を画すレンズラインナップを有しており、参入すれば一気にシェアをとれる可能性は十分にあるが、このまま静観を続けていると遅きに失する可能性もある。

ニコンの牛田一雄社長は昨年6月の中期経営計画で1眼レフ市場について「たしかに今までの二ケタ成長はできすぎだった。かといって、このまま市場がなくなってしまうことも無いと考えている。最終的には年一ケタ%の成長になるだろうと考えている」と述べたが、まだ底打ちの気配すらない。今年も需要減が続いた場合、どう舵取りするのか。難しい局面にさしかかっている。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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