ニコン、視界不良の中で一眼レフ新製品投入 需要下げ止まらず、ミラーレス台頭も
2015年、一眼レフの需要は下げ止まるのだろうか――。
1月14日、ニコンが一眼レフカメラの新製品「D5500」を発表した。2013年11月に発売された「D5300」の後継機にあたる。画素数など基本性能に大きな変化はないが、重さを530グラムから470グラムへと軽量化。液晶にタッチパネルを採用したことが主な変更点だ。オープン価格だが、本体価格8万9000円、レンズキットで10万円を予定されている。発売日は2月5日。
スマホが変えたカメラ市場
「一眼レフの撮影シーンで一番多いのが家族写真。高画質をそのままにスマホ感覚で扱えることに注力した」とニコンの楠本滋マーケティング部長はいう。
だが、一眼レフカメラをめぐる市場環境は悪い。カメラ映像機器工業界(CIPA)の統計によると、14年1~11月のレンズ交換式カメラ出荷台数は1280万台。ピークだった12年から3割以上も減少した。それを受け、ニコンは11月にレンズ交換式デジタルカメラの想定市場規模を下方修正した。なぜ一眼レフカメラ需要の縮小が止まらないのか。
メーカー側の説明は、需要減はあくまでも世界経済の悪化に伴う一時的なもの、というものだ。「カメラの需要が特に悪いのは欧州と中国。欧州は景気が戻らないこととロシアではルーブル安が響いていると考えている。中国は12年末にはじまった“ぜいたく禁止令”による影響が大きかった。逆に、米国と中国以外のアジアは回復傾向にある。米国に限れば14年10月、11月の米国への出荷数は前年を上回った」(ニコン広報)。
だが、経済状況の悪化だけが要因ではないようだ。
1つは、写真の用途が変わったことだ。これまでは写真は「プリントするもの」だったが、SNSの普及によって「ネットで共有するもの」に変化した。それに伴い、カメラに求められるものが、高画質・高精細といった写真の質から、より手軽に撮影してSNSにアップロードできるか、といった使い勝手に代わっていった。そうした需要の部分がスマートフォンに侵食されたとみられる。
技術の成熟化も一因だ。画素数競争は一段落したのに、新たな訴求ポイントが見つからない。今回発売したD5500も小型軽量化はしているものの、基本性能は据え置き。こうした状況を反映して、買い替えサイクルが長くなったほか、新製品を発表するも、それによって値下がりした既存機の方がむしろ人気が出る、という動きになっている。
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