吉本興業が創業110周年を大きな節目にする理由 BS放送局を開局、笑いの総合商社は新ステージへ
この2日間は、難波界隈も「伝説の一日」デイとなった。
関西エリアの地上波テレビ番組には吉本芸人がこぞって出演し、110周年トークや公演の模様が伝えられたほか、NGK周辺は公演前から集まる観客と出待ちのファンでごった返した。さながら大規模な映画祭や音楽フェスのような雰囲気だった両日。お笑いの街・大阪が吉本興業のお笑いで濃くも華やかに彩られた、まさに伝説的な2日間になったといえるだろう。
110周年を彩るのは「伝説の一日」だけではない。もうひとつ大きな出来事が始まっている。それは、念願の自前の「テレビ局」開局だ。
2019年に総務省より衛星基幹放送事業者の認定を受け、開局に向けた準備を進めてきた。そして3月21日に「BSよしもと」(265ch・無料放送)が開局。初日は6時間の生放送による開局記念特別番組を放映したほか、「伝説の一日」も28時間にわたり楽屋や舞台裏の様子を含む公演の模様が随時中継された。
地方創生がコンセプト
BSよしもとの大きなコンセプトは地方創生だ。47都道府県それぞれに住む芸人と社員が拠点となり、自治体や地域企業、団体等と密接なネットワークを築きながら新事業を創出する「あなたの街に住みますプロジェクト」を2011年より推進してきた吉本興業。その実績やノウハウをベースに、地域に貢献するさまざまな番組を編成する。
たとえば、「笑いの力で地域を元気に!」をテーマにした平日午後の帯番組「Cheeky’s a GoGo!」では、曜日ごとに全国を5つのブロックにわけて各地の住みます芸人が地元情報を紹介している。
お笑いの力で地方を元気にする吉本興業の10年越しの取り組みは、創業110周年記念事業のひとつとして放送メディアを持つ大きな一歩を踏み出した。そんな吉本流地方創生はいま、次のフェーズに進もうとしている。
さらに110周年事業は、未発表の大きな案件も控えている。興行では「110周年感謝祭」とうたう西川きよしや中田カウス、オール阪神・巨人、西川のりお、ザ・ぼんちなど巨匠たちそれぞれの単独全国ツアー、桂文枝と桂文珍の独演会のほか、大型のフェスイベントも企画中だ。
ビジネス関連では、中国における提携パートナーである中国CMG(チャイナ・メディア・グループ)と日中国交正常化50周年事業に位置づける新たな取り組みや、メタバース関連のNFT事業展開の準備も進められている。
BSよしもと開局と「伝説の一日」の成功によって、記念すべき創業110周年の幸先よいスタートを切った吉本興業。まずは華々しく幕を開けたが、この先より大きな動きがあることだろう。この1年間は吉本興業から目が離せない。
(文中一部敬称略)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら