吉本興業が創業110周年を大きな節目にする理由 BS放送局を開局、笑いの総合商社は新ステージへ
2日目の3回目のステージにダウンタウンが登場。劇場での漫才は実に31年ぶりとなる。舞台袖には大勢の後輩芸人たちが陣取って熱い視線を送っていた。思いつきでしゃべる自由奔放な松本人志とそれに翻弄されつつも受け流す浜田雅功の独特なボケとツッコミが会場を爆笑の渦に巻き込んだ。
往年のお笑いファンだけでなく、彼らの漫才をリアルタイムで知らない若い世代にも、お笑いレジェンドの貫禄とすごみを知らしめたに違いない。色あせない2人の人間性が滲み出る30分強の漫才は、多くの笑いを生み出していた。
そして両日の最後のステージの大トリは、「さんまの駐在さん」。オープニングトークには、いまなお先頭に立って日本お笑い界を牽引する吉本芸歴48年の明石家さんまに、110周年公演に本演目を熱烈にリクエストしたという今田耕司、駐在さんシリーズを明石家さんまから受け継いだナイティナイン・岡村隆史の3人が登場し、劇場を盛り上げた。
劇中では物語の場面ごとに次々と芸人たちが登場。脚本による芝居とアドリブのトークやネタが交錯して進行するなか、若手がモノボケや大喜利、アドリブコントで腕を競い合う真剣勝負を繰り広げたかと思えば、西川のりおとぼんちおさむが40年前に一世を風靡したギャグを披露。さらに、「花の駐在さん」前任者となる桂文枝と明石家さんまの掛け合いや、西川きよしと明石家さんまのコンビで“やすきよ”ネタも飛び出すまたとないシーンとなった。
サステイナブルなお笑いの世界を
歴史を作ってきた芸人たちからは、吉本興業の将来のさらなる発展を願う声が相次いだ。
芸能生活60年になる西川きよしは、吉本興業所属当初から全国各地への巡業の思い出までを振り返りつつ「次の10年も初心に返ってがんばります」。桂文枝は「吉本興業に入って55年。初代の桂春団治師匠からずっと笑いをつないできました。われわれもそれを次の時代につないでいきたい」と未来への想いを語る。
さらに、ステージでの寄席後の囲み取材で桂文珍は「いまは若い芸人たちの成長が楽しみ。新しい着眼点、アプローチ、表現力などに優れていて、いままでになかったお笑いのスタイルでイノベーションを起こす、次の世代がどんどん育っています。落語家でもそういう人たちが育つことを夢見ています。これからもサステナブルなお笑いの世界を、文化として維持できるように努めます。それが伝説になっていくといい」と次の世代へエールを送った。
そして、フィナーレでステージに呼び込まれた岡本昭彦社長が、「みなさまのおかげで110周年を迎えることができました。これからもお笑いの力を信じてがんばっていきますので、末永いお付き合いをお願いします」と語り、明石家さんまはフィナーレの吉本興業ヒットソングメドレーのラストに「笑顔のまんま」を歌い、「君の笑顔を吉本に、吉本にください」と締めた。
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