データを駆使した「デジタル農業」が成功する理由 モノ・コトをデジタル化できない組織は危ない
この考え方は、さらに推し進めることで、経営者の視点からビジネス全体を仮想化し、シミュレーション経営に繋げることも可能です。つまり、付加価値の高い新規ビジネスの創造や既存事業の将来の具体像といった「経営上のシナリオ」ですら仮想的に描き、会社の行く末に対し、適切かつ確実な意思決定を下すことが可能になるのです。
ここで、「そんなことが本当に可能なのか?」という方へ向けて事例をお伝えしましょう。
昭和16年創業というレガシー企業でありながら、製造業DXのお手本として各種メディアで取り上げられている「旭鉄工」という会社があります。この会社でDXを推進する木村哲也社長は、「工場の製造設備から取得したデータは、そのまま経営指標として使える」と、はっきりと明言されています。
また、まったく異なる領域の事例として、デジタル農業「高知県IoPプロジェクト」では、作物の育成に関連するあらゆる事象をデジタルツインの実現でシミュレーションすることに成功しています。生産者の勘と経験の形式知化の実現に加え(キーフレーズ①:暗黙知の形式知化)、過去の生育条件をデータ化することで収穫時期や収穫量の予測までも可能にしました(キーフレーズ②:過去解析から将来予測への移行)。
DXはあらゆる産業、ビジネスに応用できる
これらの事例の通り、DXはあらゆる産業のあらゆるビジネスに当てはめることが可能で、会社や事業の行く末に対して、適切かつ確実な意思決定を下せるようになるのです。
冷静に考えれば、デジタル技術を用いて、現実空間のあらゆるモノやコトがデジタル化していくトレンドは、この先も衰えることはありません。すると、企業が生き残るには、凄まじいまでの「変化」を要求され続けることになります。
激しい変化のなかで組織の能力を硬直化させることなく、スピーディで柔軟な意思決定に必要なのは、「できるだけ小さく、フラットで、ダイナミックな組織」であることが求められます。DXとは、つまりはこうした、あるべき姿にトランスフォームするためのデジタル化を意味しています。
実は、すべてが繋がっているのです。
激動の時代を生きる企業にはダイナミック・ケイパビリティ(種の保存の法則:環境や状況が激しく変化する中で、企業がその変化に対応して自己を変革する能力)が求められ、ダイナミック・ケイパビリティのためには、未来予測のシミュレーション経営が必要です。
こうしたシミュレーション経営を実践するためには、データを活用して現実空間と仮想空間を1つのものとして捉えるデジタルツインが必要です。そしてデジタルツインの実現には、IoTをはじめとしたデータ分析の基盤構築が必要となります。
これらが1つに調和したところに、DXは実現するのです。
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