「わずかな報酬」「生還保証なし」で成功の求人広告 非日常性を与えて「ひらめき」を生む戦略質問
話は本題のほうに移った。そして「この南極がさ、今、ないんだよ」とため息をつかれた。南極がないのは、はたしてその経営者自身にとってなのか、それとも社員にとってなのか。聞いてみたところ「両方だよ」と答えた。
脳に非日常を与える戦略質問
「自分はいつでも仕事が楽しかった。そして会社も大きくなり、昔とは比較にならないほど、高学歴の人材も採用できるようになった」。その言葉から、その方は南極ではなくても「至難の旅」からの生還を繰り返してきたという実感をもっていて、今、社員にとってのそれがないことを寂しく思われていることがわかった。
自分の新しい南極も重要だが、今は、自分の会社に入社した若い人たちにとっての「南極」を考えなければならない、と、ふと言われた。そこから、かなり深刻でタフな議論が始まったが、数十分後には、自社のビジョンの再定義、組織戦略、人材戦略のあり方など、おおまかなカタチができてしまった。
人材戦略にかかわらず、戦略やビジネスモデルを発想するためのスタートが「ひらめき」であるのはいうまでもない。そのために、いかに相手の脳に非日常を与えるかが重要だと思う。それを実現するための有力な方法の1つが、問いかけを磨くことだと考えている。
そうした問いかけを筆者は「戦略質問」と呼んでいる。
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