台湾に好例「GAFAに独占されぬネット空間」作る術 自由で安全に意見交換できる公共の場が必要だ

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ジャーナリストの堤未果氏と台湾のデジタル担当大臣であるオードリー・タン氏の対談(オンラインで実施)をお届けします(写真提供:NHK出版) 
日本で長年議論されながら、なかなか進まないデジタル化。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表している「世界デジタル競争力ランキング2021」で、64カ国・地域のうち、日本の総合順位は28位で過去最低だった。
一方で、急速に順位を挙げているのは台湾だ。2018年は16位(日本は22位)だったが、2020年は8位に浮上した。新型コロナウイルス感染拡大阻止の成功例として国際的に注目されたことも記憶に新しい。
なぜ台湾はデジタル化の推進に成功しているのか。著書に『デジタル・ファシズム:日本の資産と主権が消える』がある国際ジャーナリストの堤未果氏が、台湾のデジタル相オードリー・タン氏とオンラインで対談し、その実態を全3回で解き明かした。
第2回は「SNSとジャーナリズム」について。
第1回:デジタル化「進まぬ日本」「成功する台湾」決定的差
第3回:台湾の天才IT相「スマホ画面を指で操作しない」訳

台湾のソーシャルメディアは日本と意味が異なる

堤:今世界では、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)のようなビッグテックのプラットフォームが、事実上情報の独占権を握ってしまったことが問題になっています。ソーシャルメディア事業者による言論統制も進んでいて、例えばツイッターの投稿が、本人も知らないところで、ほかのユーザーに見えないようにされていたり……。

タン:ああ、わかります。それは「シャドーバンニング」と呼ばれるテクニックですよ。ところでミカの言う「ソーシャルメディア」とは、1つのカテゴリーとしてのですか? それとも、ツイッターとフェイスブックだけ?

堤:ツイッターやフェイスブックのような、商業版SNSの話です。

タン:よくわかりました。それを聞いた理由は、私たちの活動におけるソーシャルメディアは、そうしたものとまったく目的が異なるからです。台湾の人々は、そういうSNSではなく、ソーシャルセクター版のSNSで、政治や行政について話し合うのが好きなんです。

例えばPTT(台湾の最大規模のオンラインコミュニティー)というSNSは、完全にオープンソース、100パーセント非営利で共同運営されているんですが、これができるのは学生たちが25年以上もの間、大切に続けてきたプロジェクトだからです。

運営費のほとんどは、行政院国家科学委員会(現:行政院科技部)の助成金で賄われています。つまり、台湾で「ソーシャルメディア」という場合、それは社会的セクターや、ボランティアが管理・運営を行う共同メディアのことを意味するわけです。

もちろん台湾にも趣味のためにフェイスブックを使っている人はいますが、とくに行政サービスに関することになると、まったくメジャーではありません。

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