仕事も人間関係も「話す」より「聞く」でうまくいく ちょっとした心がけで「人生の損」は少なくなる

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齋藤:時間外で延長戦をすることも必要な気がしますね。

篠田氏(左)と齋藤氏。盛り上がった対談は2時間近くにおよんだ(撮影:梅谷秀司)

篠田:そんなに長時間じゃなくてもいいのかもしれないですよね。3時間飲みに行かなくても、「ゆっくりお話を聞きたいので、30分だけ時間をください」とお願いして、その時間は判断を留保して相手の話をじっくり聞く。それだけでもその後のコミュニケーションは取りやすくなる感覚があります。

齋藤:そうですね。最近の会議に関する本は「どうやってファシリテーションをして時間内に合意形成するか」がメイントピックになっているけど、60分中50分雑談して、最後の10分で企画の話をするような打ち合わせもうちでは結構あるんです。「このアイスブレイクどこまで続くんだ?」みたいな(笑)。社員が途中で焦り出すことはよくありますね。

篠田:今日の取材も、当初の段取りを大きく無視して好き勝手話してますものね(笑)。齋藤さんは「まずい、今日話したかったことまでたどり着かない」と思うことはないですか?

齋藤:企画の打ち合わせの場合、脱線が重要だったりするんですよ。アイスブレイクのくだらない話から広がった話が伏線になることは意外と多いんです。不確実性を受け入れて、意図的に話を聞く時間を作らないと、世の中に伝わるような、面白いアイデアは生まれにくい気がします。

(構成:天野夏海)

齋藤 太郎 コミュニケーション・デザイナー/クリエイティブディレクター

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さいとう たろう / Taro Saito

慶應義塾大学SFC卒。電通入社後、10年の勤務を経て、2005年に「文化と価値の創造」を生業とする会社dofを設立。企業スローガンは「なんとかする会社。」。ナショナルクライアントからスタートアップ企業まで、経営戦略、事業戦略、製品・サービス開発、マーケティング戦略立案、メディアプランニング、クリエイティブの最終アウトプットに至るまで、川上から川下まで「課題解決」を主眼とした提案を得意とする。サントリー「角ハイボール」のブランディングには立ち上げから携わり現在15年目を迎える。

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篠田 真貴子 エール取締役

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しのだ まきこ / Makiko Shinoda

エール株式会社取締役。社外人材によるオンライン 1on 1を通じて、組織改革を進める企業を支援している。2020年3月のエール参画以前は、日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年〜2018年ほぼ日取締役CFO。退任後「ジョブレス」期間を約1年設けた。慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルバニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。人と組織の関係や女性活躍に関心を寄せ続けている。『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』『ALLIANCE アライアンス――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』監訳。『まず、ちゃんと聴く。コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比』巻頭言ほか。

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