国内自動車メーカー出揃ったEV動向、今後の行方 EVメーカー化のホンダと日産、追従するトヨタ

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全固体電池の積層ラミネートセルを試作生産する設備(写真:日産自動車)
全固体電池の積層ラミネートセルを試作生産する設備(写真:日産自動車)

酸化物系の電解質は、水分を嫌うとされるが、日産のリチウムイオンバッテリーは、真空状態でラミネート容器を封印するので、水分の入り込む余地がない。人が1時間も居続けることができないような湿度の低い、真空の製造工程で、チリもなく製造することによって、リーフのリチウムイオンバッテリーは世界累計50万台を超えてなお、ひとつも事故を起こしていないのである。

この精度の高い、しかも柔軟性を持つラミネート型リチウムイオンバッテリーの製造方法は、そのまま全固体電池にも適用できるという。リチウムイオンバッテリーに1990年代前半から注目し、ソニーやNECと共同開発しながら手の内にしてきた日産の大いなる成果といえるだろう。

2021年11月29日の長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」発表時に登場した「Chill-Out コンセプトカー」(写真:日産自動車)
2021年11月29日の長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」発表時に登場した「Chill-Out コンセプトカー」(写真:日産自動車)

2030年度に日産は、新型EVを15車種導入すると、昨年11月に発表した「アンビション2030」で表明した。そこへ向け、全固体電池の市場導入が2028年というのであれば、性能と価格の両面で大きな強みになると考えられる。EVを民主化するとした志の具体像が見えてきそうだ。

日産同様にバッテリー調達の具体案を提示したホンダ

2022年4月12日の四輪電動ビジネス説明会にて、多面的、多角的・多元的なソリューションを説明する本田技研工業の取締役 代表執行役社長 三部 敏宏氏(写真:本田技研工業)
2022年4月12日の四輪電動ビジネス説明会にて、多面的、多角的・多元的なソリューションを説明する本田技研工業の取締役 代表執行役社長 三部 敏宏氏(写真:本田技研工業)

ホンダは、2040年にEVメーカー化を目指すなか、四輪電動ビジネス説明会で、2050年のカーボンニュートラルへ向け、バッテリー調達に関する具体像を示した。

アメリカは、ゼネラルモーターズ(GM)のアルティウムバッテリーをもとに合弁で調達する。中国では、世界最大手といわれるCATL(寧徳時代新能源科技)からバッテリーを確保する。そして日本は、エンビジョンAESCと合意に達したとのことだ。エンビジョンAESCとは、日産がNECとトーキンと合弁で設立したバッテリーメーカーであるオートモーティブ・エナジー・サプライ・コープレーション(AESC)が源であり、2018年に中国のエンビジョングループへ売却された。だが、日産は25%の株を保持している。したがって、製造されるリチウムイオンバッテリーはラミネート型だ。

GMのアルティウムバッテリーも、もとになるのは韓国のLG化学のリチウムイオンバッテリーであり、これもラミネート型である。余談だが、メルセデス・ベンツがEVに使うリチウムイオンバッテリーもラミネート型だ。

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