山本太郎氏「参院鞍替え」実は与党が戦々恐々な訳 出馬選挙区明かさず、各党の選挙戦略は混乱必至

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こうした山本氏の発言を前提とすれば、ターゲットとなるのは①与党や維新など政権寄りの議員の指定席、②埼玉、東京、愛知、大阪、福岡以外のれいわの支持層が多い大都市圏の複数区ということになる。その場合、該当するのは「千葉(定数3)、神奈川(定数4+1)と兵庫(定数3)」(選挙専門家)とみられる。

このうち与党だけでなく「与党側の顔をかぶった維新」(山本氏)の議席獲得が見込まれているのは、神奈川と兵庫だ。神奈川は欠員が出たため今回改選は5議席。兵庫は自民、公明、維新の指定席とみられているが、同県出身の山本氏にも身近な選挙区だ。

山本氏は今回参院選で3議席獲得できれば「代表質問の権利が得られる」と発言した。これが最低目標とすれば、常識的には「選挙区1、比例代表2で3議席」(選挙アナリスト)となる。もちろん、山本氏の選挙区での当選が前提だ。

そうなると、過去の実績から見て「山本氏が東京選挙区(定数6)で出馬し、比例でも2議席を確保するのが一番の早道」(同)ともみえる。山本氏は2013年の東京選挙区で66万票あまりを獲得して4位で当選しており、当時より高い知名度から、「上位当選は確実」(同)だからだ。

一番スリリングな展開は兵庫選挙区への出馬だが…

これまでの変幻自在な山本流なら、土壇場で東京選挙区に擁立した候補を比例代表に回すことも可能だ。もちろん、衆院選と同様に比例代表での出馬も当選確実ではあるが、その場合、東京選挙区などでの議席獲得は望み薄だ。

しかも、山本氏の鞍替え出馬表明を受けて、国政政党の「NHK受信料を支払わない国民を守る党」の立花孝志代表は、今回参院選に同姓同名の別人「山本太郎」氏の擁立を発表した。山本氏の比例代表出馬への牽制であることは明らかだ。

こうしてみると、一番スリリングな展開となるのは出身地の兵庫選挙区への出馬だが、当選を困難視する声が多い。事前に300万円かけて実施するという山本氏独自の支持動向調査でも手ごたえが悪ければ、前言を翻して東京選挙区出馬を選択する可能性も否定できない。

これまでの選挙でも、ネット上の注目度と実際の有権者の反応には違いがあり、「空中戦」主体の山本氏にとって、予想される低投票率なら情勢は不利になる。いずれにしても、今回の挑戦への賛否も含め「すべては結果次第」(閣僚経験者)となりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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