英断?愚策?岸田首相「まん延防止」解除で大博打 早期に第7波が来れば、参院選で自民ピンチに
政府が大多数の都道府県に適用してきたまん延防止等重点措置が、3月22日に全面解除された。社会・経済回復を重視する岸田文雄首相の決断に国民の支持も高い。しかし、新規感染者数の高止まりで第7波への警戒感も根強く、1~2カ月での感染再爆発となれば、参院選での自民党の勝利も揺らぎかねない。
岸田首相の意向も受けて全面解除を決めた政府コロナ対策分科会の尾身茂会長も、「リバウンドの可能性は高い」と警告。減少傾向が続く各都道府県別の新規感染者数でも、一部が過去最多となるケースが目立っており、なお第5波のピーク時と変わらない。
このため、今回の政府の対応について、「はじめから全面解除ありき」との不信も広がる。しかも、岸田首相の決断への舞台裏での「政局絡みの思惑」を指摘する向きもあり、「参院選に向けた、のるかそるかの大ばくち」(自民幹部)との声も少なくない。
大阪府が土壇場で延長を求めない方針を表明
18都道府県に適用されていたまん延防止措置の3月22日からの全面解除は、同16日の岸田首相と関係閣僚の協議で決まった。岸田首相は同夜の官邸記者会見で、「今後しばらく平時への移行期間とし、可能な限り日常生活を取り戻す期間とする」として、経済・社会生活への悪影響回避を優先したことを強調した。
併せて岸田首相は①感染防止策がとられた一般事業所では濃厚接触者の特定はしない②観光支援事業「Go Toトラベル」再開に向け、4月1日から「県民割」を拡大する、などを表明。欧米各国に倣って、ウィズコロナでの経済回復に踏み出す決意を表明、国民の理解と協力を訴えた。
ただこの首相の決断は、医療崩壊の危機から脱却できず、対応を決められなかった大阪府が、土壇場で延長を求めない方針を表明したことが、ポイントとなった。岸田首相は「自然体での決断」を強調したが、決断までの複雑な経過が、中央政界での政局的臆測を招く結果となった。
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