発足半年「岸田政権」支持率堅調も不安だらけの訳 参院選へ求心力が一気に低下する可能性も
岸田文雄首相が4月4日、政権発足から半年を迎えた。コロナ対応での迷走などで何度も政権危機がささやかれたが、売りの「聞く力」でいずれも乗り越え、政権の命綱ともなる内閣支持率もなお堅調だ。
そうした中、長期安定政権への最大の関門となる参院選投開票も3カ月あまりに迫る。ただ、ここにきての新型コロナウイルスの感染再拡大と泥沼化必至のウクライナ危機の挟撃に苦闘が続く。しかも、岸田首相が目指してきた参院選前の「経済再生」はウクライナ情勢に絡んだ物価高騰などで、実現は絶望的だ。
参院選の情勢は岸田首相らのしたたかな野党分断策などが功を奏し、現状では「自民勝利」が確実視される状況。ただ、経済再生のための参院選前の大型補正を求める公明党とのあつれきも露呈するなど、政権運営の誤算も相次ぎ、岸田首相の前途に次々と暗雲が広がる。
ロシアへの厳しい対応で支持率上昇
岸田首相は政権半年を迎えた4月4日午前、首相官邸で記者団のインタビューに答え、「課題山積で気の抜くことのできない半年だった」と述懐。コロナ・オミクロン株の感染爆発やロシアのウクライナ軍事侵攻については「大変難しい判断、決断の連続だった。これからも緊張感と危機感を持って取り組んでいきたい」と厳しい表情を崩さなかった。
その中で、コロナ対応については「毎日、毎日機動的に対応しなければいけない判断、決断の連続だった」と振り返り、感染症対策と経済社会活動のバランスをどうとるかに苦労したことを明かした。
一方、ウクライナ情勢については、「力による一方的な現状変更は、世界全体で許してはならず、毅然(きぜん)と対応しなければと、国際社会と連携した」と強調。ウクライナで多数の民間人が犠牲となっていることについても「人道上問題となる行為、国際法違反の行為については厳しく批判し非難していく」と厳しい対応をアピールした。
岸田首相はロシアの軍事侵攻を受けて、アメリカのバイデン大統領らG7首脳との会談などで「力による現状変更には明確なコストを示す」との認識を共有。G7各国と足並みをそろえたロシアへの厳しい経済制裁などで日本の立場を明確化させた。
こうした岸田政権の姿勢を国民も評価。年明け以降下降気味だった各種世論調査での内閣支持率も、3月になると上昇基調に転じ、最新の調査では過去最高にも手が届く勢いだ。
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