発足半年「岸田政権」支持率堅調も不安だらけの訳 参院選へ求心力が一気に低下する可能性も

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岸田首相は今後の国会日程の窮屈さなどから、「本格補正予算は参院選後の夏以降の臨時国会に提出、成立させる方針」(側近)だ。しかし、菅氏や山口氏は同調者を拡大させ、岸田首相に圧力をかける構えを見せる。

そもそも、岸田政権での自民、公明両党の関係は「すきま風が吹きまくっている」(自民幹部)との指摘が多く、岸田首相サイドも「このまま放置すると参院選前に政局化しかねない」と危機感を募らせている。ただ、選挙前に補正予算を組めば、野党の追及は必至で「参院選への悪影響は避けられない」(同)のも事実だ。

岸田、麻生、茂木3派主導に党内の不満拡大

そうした中、岸田首相は4月1日昼、都内のホテルの高級日本料理店で自民党の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、松野博一官房長官と会食し、緊密な連携を確認した。4氏の会合は昨年11月以来定期開催されており、麻生氏は会合後「有意義だった」と胸を張った。

岸田、麻生、茂木の3氏はそれぞれ大派閥の領袖で、岸田政権はこれまで、3派主導で政策などの意思決定を進めてきた。とくに、党運営は実質的に麻生、茂木両氏が主導権を確保している。

ただ、この状況が党内の不満を高める要因ともなっている。その典型が高市早苗政調会長の存在だ。党の責任者なのに政策決定から外される場面が多く、「いつも私には連絡がない」と不満を爆発させてきた。

茂木氏が主導したとされる「全年金受給者へ5000円一律支給」案も、高市氏は党内や国民世論の反発を理由とした「白紙撤回宣言」で茂木氏を揺さぶった。

「3派主導体制」への不満は、岸田政権発足で冷や飯組となった二階、森山両派や菅グループだけでなく、最大派閥・安倍派内でも広がっている。

もちろん、ウクライナ危機が深刻化する現状では、各派・グループはともに公然とした政権批判は控えているが、「第7波」「物価高騰」という“爆弾”が破裂すれば、参院選に向け、岸田首相の求心力が一気に低下する可能性は少なくないのが実態だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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