平気で「漬物」を食べる人が知らない超残念な真実 「不自然な色、食感…」いつからそうなった?

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「漬物は作るのが面倒」と思う人が多いかもしれませんが、じつは漬物は簡単にできます。

たとえば白菜の一夜漬けは、白菜を3パーセントの塩を加えてもんで冷蔵庫に一晩おいて(まだ生っぽくてサラダっぽかったら、もう一晩寝かせて)しんなりしたら水気を絞って、あとはちょっと一塩足すか、「安部ごはん」の「魔法の調味料」の1つ「甘酢」を少し加えれば出来上がりです。

ぬか漬けだって最近は「ぬか漬けの素」が売られていて、これを使えば手軽にぬか漬けができます。実はコロナ禍の「ステイホーム」の影響で「ぬか漬けの素」がよく売れているそうです。

ここで1つ、ぬか漬けの「裏ワザ」を教えましょう。ぬか漬けの乳酸発酵を促進させる野菜が「キャベツ」です。野菜を漬けるときにキャベツの葉を1枚入れると、上質な乳酸菌が育って、よりおいしいぬか漬けができます。もちろんキャベツ自体も一品としておいしく食べられます。「浅漬け」は野菜の色も保たれて、「見た目」もよく、「色付け」や「盛り付け」なども楽しめるので、おすすめです。

「安部ごはん」でも、「魔法の調味料」さえ用意しておけば簡単に作れる「即席はりはり漬け」や「紅白ゆず大根」などを紹介しています。こちらも参考にしてみてください。

安部氏が開発した「魔法の調味料」さえあれば簡単に作れる「即席はりはり漬け」と「紅白ゆず大根」(撮影:佳川奈央)

みんな添加物を「支持」している

「そんなに『合成着色料』が使われるのはイヤだ」「なぜそんなに添加物を使うのか」と思うかもしれません。でも使わなかったら売れないのです。

『食品の裏側』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

「合成着色料は使わないで!」「人工甘味料を外してほしい」というのは簡単ですが、それを外すと、とたんに売れなくなるのです。

私自身も「無添加の明太子」を製造販売して、大失敗した経験があるからわかるのですが、「色がくすんだもの」「透明感がないもの」は売れません。それどころか「こんな汚い色をしているなんて、腐っているのではないか」「味がおかしい!」などと、どれだけ抗議を受けたかわかりません。

あるとき、おばあちゃんが作ってくれた手作りたくあんを、小学生の子どもがお弁当に入れて、持っていったそうです。すると、そのお弁当を見た周りの子どもたちが「くせえ、誰か、臭うぞ」と言い出し、その子の弁当に入っているたくあんを見つけて、「こいつだ! こいつの弁当、うんこみたいだ」「うんこ弁当だ」と騒ぎ立てたそうです。その子は「ばあちゃんが作ったからうまいんだ!」と涙を浮かべながら呑み込んだといいます。

なぜ、たくあんを「真っ黄色」に染めないといけないのか、福神漬けを「真っ赤」に染めないといけないのか、それはそのほうがよく売れるから、「消費者ニーズ」があるからですが、いつから日本人は、そういう「不自然なきれいさ」を求めるようになってしまったのでしょうか。

もちろん私は、和菓子の創作菓子のような「色彩文化」を否定するわけではありません。ただ、漬物は、和菓子のようにたまに食べる嗜好品ではなく、日々食卓に並ぶもので、それにしては色が不自然な商品が多すぎる。

極端な言い方をすれば、私には、漬物は「日本人の歪んだ美意識、過剰な美意識」の1つの象徴のように思えてなりません。本来、大根でつくるたくあんが、あんな真っ黄色であるはずがないではないですか。

私が書いた『食品の裏側』のサブタイトルは「みんな大好きな添加物」でした。みんな結局「添加物を支持」しているのです。

そしてその「残念な真実」は、私が『食品の裏側』を書いた15年前も現在も、実はまったく変わっていないのです。

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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