移住数が最多「20代女性」が東京に集まる深い理由 実は「企業の東京離れ」もほとんど起きていない

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ではなぜ、20〜24歳の女性の多くは東京に転入してくるのでしょうか。

グローバル都市不動産研究所が上京経験のある男女(20 〜29歳)を対象に行った意識調査によれば、「東京都に上京した理由」は、

「東京に進学したい大学や専門学校があったから」(39.8%)
「東京で働きたかったから」(25.2%)
「異動や家族の都合で、やむを得ず上京した」(20.6%)

の順。この上位3つの理由は、男女ともに順位は変わりませんでした。ところが、4位以下の理由は男女で大きく異なってきます。20〜29歳の女性は、上京する理由として

「新しい生活を始めたいと思ったから」
「都会に憧れがあったから」
「地元や親元を離れたかったから」
「交通の便が良いと思ったから」
「趣味をより楽しみたかったから」

という理由が男性より際立って高くなっています。総じて、男性より女性のほうが東京への憧れは強いようです。

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以上見てきたとおり、2020年から始まったコロナ禍という状況においても、人口の東京一極集中は依然続いており、特に20〜24歳女性の動向が東京一極集中に大きく関わっていることがわかりました。

そして20〜24歳の女性たちが東京を目指すのは、「新しい生活を始めたい」「都会に憧れている」「地元や親元を離れたい」という強い理由があるから。

国は過去十数年にわたって、東京一極集中を是正するために、首都圏の大学や短大の定員の増加を禁止したり、地方に若い人たちが働く場を確保するなどの政策を進めていますが、「都会への憧れ」や「地元・親元を離れたい」という若い人たちの意識が変わらない限り、東京への一極集中はこれからも続いていくと考えるべきでしょう。

市川 宏雄 明治大学名誉教授

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いちかわ ひろお / Ichikawa Hiroo

明治大学名誉教授/帝京大学特任教授/一般社団法人 大都市政策研究機構・理事長/特定非営利活動法人 日本危機管理士機構・理事長。

1947年東京都生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院修士課程、博士課程(都市計画)を経て、ウォータールー大学大学院博士課程(都市地域計画)を修了。1997年、明治大学政治経済学部教授に就任。専門は都市政策、危機管理、テレワーク、次世代政策構想。「世界の都市総合力ランキング(GPCI、森記念財団)」主査。『東京一極集中が日本を救う』(ディスカヴァー携書)、『東京2025』(東洋経済新報社)、『山手線に新駅ができる本当の理由』(KADOKAWAメディアファクトリー新書)など著書多数。

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宮沢 文彦
みやざわ ふみひこ / Miyazawa Fumihiko

平成元年 早稲田大学商学部卒業後、ユニバーサル証券(現 三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社。平成7年にレーサム・リサーチ(現 レーサム)に入社、営業部長として活躍し不動産コンサルティングを行う。平成11年4月に株式会社ボルテックスを設立。公認 不動産コンサルティングマスター認定者。

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