コロナ禍でも東京「都市力ランキング」3位の理由 ちなみに1位はロンドン、2位はニューヨーク
「居住」分野では東京は世界第9位です。東京以外のアジア主要7都市を見ると、シンガポール31位、香港33位、台北35位、上海37位、ソウル38位、北京41位と、軒並み30位以下ですから、アジアの中では群を抜いて高スコアです。
この「居住」分野における東京の強みは、「就業環境」における「完全失業率の低さ」と、「生活良好性」における「平均寿命」、そして「生活利便性」における「小売店舗の多さ」と「飲食店の多さ」。さらにコロナ禍の2021年は「就業環境」における「働き方の柔軟性」が大きくスコアアップしました。
アジア全体から見れば、東京は文句なく暮らしやすい都市であり、海外からファンドや投資家を招聘できる、いわゆる世界スタンダードの住環境の整備のための下地の部分は整っているといえるでしょう。余談ですが、東京の不動産物件は世界の主要都市と比べて驚くほど割安なのが大きな特徴。この傾向はコロナの前後で変わっておらず、近年は海外からの注目も高まっています。
公共交通機関の利便性はアドバンテージ
次に「交通・アクセス」分野を見てみましょう。アジア主要7都市は、1位上海、5位東京、8位シンガポール、12位ソウル、13位香港、19位北京、24位台北と、総じてこの分野ではランキングが高いです。
東京の強みは、「国際ネットワーク」における「国際貨物流通規模」が大きいこと。「航空キャパシティ」の「国内・国際線旅客数」もきわめて多く、「発着回数」も多い。「都市内交通」においては、「公共交通機関利用率」と「駅密度」も優秀です。こうした公共交通機関の利便性は、東京の大きなアドバンテージでしょう。
次に、東京の弱みです。まず挙げられるのが、「移動の快適性」における「渋滞の少なさ」。世界の大都市はどこも交通渋滞が大きなネックになっていますが、東京も例外ではありません。近年、環境対策や渋滞対策の観点から、都市内の自転車交通が世界的に見直されていますが、東京はその部分でやや遅れているようです。
そうした傾向を端的に表しているのが、「移動の快適性」における「タクシー・自転車での移動のしやすさ」のスコアです。
この指標での上位都市は、アムステルダム、北京、コペンハーゲン、上海、シンガポールなど。アムステルダムでは、ごく早い時期から道路に自転車専用レーンが組み込まれていて、自転車による移動が積極的に行われています。北京や上海も同様。一方、東京は、この指標で評価を落としています。
「交通・アクセス」分野での東京の強みは、航空物流・人流(国際貨物量・旅客数)がきわめて大きいこと。とにかく、多くのモノとヒトがダイナミックに動いているのが東京の大きな特徴です。逆に東京の課題は、都市内移動の快適性をもっと向上させること。道路交通の渋滞を解消し、タクシー料金の値下げを実現し、自転車利用がもっと便利になれば、東京の総合力はさらにパワーアップするでしょう。
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