コロナ禍でも東京「都市力ランキング」3位の理由 ちなみに1位はロンドン、2位はニューヨーク

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「文化・交流」分野では、今回も変わらずロンドンが断トツの1位。東京は、世界的なスポーツの祭典が外国人観光客を招いて開催されていれば3位に上がる可能性もあったのですが、無観客で行われたため4位にとどまりました。

「居住」分野では、前年2位のマドリードが初の首位に。東京も前年12位から9位にランクアップ。要因は「働き方の柔軟性」が前年の41位から2位に躍進したことでした。

「環境」分野は、例年北欧などヨーロッパの都市が強く、今年も「持続可能性」「再生可能エネルギー比率」「リサイクル率」などで評価が高かったストックホルム、コペンハーゲンが1位、2位でした。一方、ニューヨークなどの巨大都市は総じて「環境」分野のスコアが低いのですが、東京の17位はそう悪い順位ではないと感じています。

観光が充実すればトップを狙える

今回、新型コロナウイルス感染症の影響を最も強く受けたのが「交通・アクセス」分野で、世界的に人の移動が制限されたため、前年1位だったロンドンは「国内・国際線旅客数」を大きく減少させて3位に後退。東京も国際線旅客数を減らしましたが、国内線は一定の利用があり、「渋滞の少なさ」の数値も上昇し、前年7位から5位に上がりました。

東京は、ロンドンの「文化・交流」(毎年1位)、ニューヨークの「経済」「研究・開発」(ともに毎年1位)のように突出した得意分野はないものの、バランスがよく、総合力で世界と戦っています。今回、スコアを伸ばした東京は各分野でトップ2都市を猛追しており、たとえば長年の課題である「観光地の充実度」という弱みを改善すれば、都市力で世界第1位に躍進することも夢ではありません。

2021年を語るうえで外せないのが、COVID‐19(新型コロナウイルス感染症)の影響です。

企業活動への影響

コロナ禍は各国の企業活動に影響を与えましたが、"FortuneGlobal500"にランクインした「世界トップ500企業」の対象都市に立地する企業の総売上高を見ると、東京が37社中24社、パリが24社中20社、ニューヨークが17社中12社、ロンドンが16社中10社で売上が減少しているのに対して、北京は58社中42社、上海は9社中8社、香港は7社中5社、台北は7社全社で売上が増加しており、欧米日と中国系で明暗がくっきり分かれました。

働き方への影響

コロナ禍は人々の働き方をも変え、48都市すべてで「総労働時間」が前年から減少。経済活動が停滞したという負の側面もありますが、テレワークの導入で業務が効率化するなどプラス面ももちろんあります。特に東京ではプラス面が大きく、テレワークの導入やコワーキング施設数の増加により、以前から課題とされていた多様な働き方が実現、「働き方の柔軟性」のスコアは前年41位から2位に大きく躍進しました。

都市環境

コロナ禍による経済活動の縮小や交通量の減少などで大気汚染が改善され、48都市中38都市でPM2.5濃度の減少が見られました。東京も前年比で14%減少しています。

COVID-19の総合スコアに対する影響を数値化すると、プラスの影響が大きかったのは東京(+83)、マドリード(+23)、上海(+6)、アムステルダム(+1)など。マイナスの影響が大きかったのはシンガポール(−74)、ベルリン(−68)、香港(−65)、ロンドン(−49)、ニューヨーク(−44)、パリ(−5)など。皮肉にも、東京はコロナ禍で都市力がアップする結果となりました。

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