対ロシアで注目、インド「非同盟」の複雑な立場 大国化するインドはこれからどこに向かうのか

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インドに積極的に接触しているのはアメリカだけではない。この間の主な外交を列挙すると以下のようになる。

3月2日    国連総会の緊急特別会合でロシア非難決議、インドは棄権
3月3日    日米豪印戦略対話(QUAD)の首脳会談(オンライン)
3月19日  岸田首相がインド訪問
3月22日  豪州のモリソン首相とモディ首相がオンライン会談
3月25日  中国の王毅外相がインドを訪問
3月31日  英国のトラス外相がインドを訪問
4月1日    ロシアのラブロフ外相がインドを訪問

国名を見ただけでも西側諸国だけでなく中国、ロシアまでインドに接触していることがわかる。日米など西側諸国は、インドが西側の同盟に加わりロシアに対する制裁を実施し、ロシアを追い詰める側に立つよう働きかける。これに対し中ロは、西側に距離を置き、ロシア制裁に加わらず、ロシアとの貿易を継続しロシアを支援することを求めている。

こうした中、モディ首相は「世界が2つのブロックに分かれているとき、インドは人類に対して独立した立場を取り、国益を最優先していく」と語り、インド外交の伝統である「非同盟」の立場を貫こうとしている。しかし、現実のインドの「非同盟」は時代とともに揺れ動いてきた。

非同盟だが、状況に応じて立場を変える

戦後のインド外交を振り返ると、純粋な非同盟は1960年代までで、1970年代にアメリカと中国が接近すると、中国との間に領土問題を抱えるインドはソ連に接近して「印ソ平和友好条約」を結び、実質的な同盟関係にはいった。そして、冷戦が終わると経済システムを社会主義から資本主義に転換するとともに、欧米など西側に接近した。

このあたりからインド外交は複雑になってくる。

ロシアが力を失う一方で改革開放路線の中国が台頭してくるとインドは中国との経済関係も深めていった。しかし、中国が「一帯一路」政策で、インドの隣国でやはり緊張関係にあるパキスタンなどに手を伸ばしてくると、対抗策として日米豪のQUAD(安倍政権が提唱した四カ国戦略対話)に一員として参加するとともに、アメリカや日本が打ち出している「自由で開かれたインド太平洋構想」(FOIP)を評価する姿勢を示した。日米など西側諸国の参加するインド洋での軍事演習にも積極的だ。

しかしこの間、ロシアとの良好な関係も続き、特にロシアからの武器輸入はインド軍を支えている。最近はパキスタン対策として地対空ミサイルシステム(S-400)など最新鋭兵器も輸入している。

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