アメリカの「赤字」航空会社の株価が上がるワケ デルタ航空の最新決算に2つの注目ポイント

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4月以降についてそれなりに明るい見通しが示されたことも、投資家たちを一安心させたようだ。デルタ航空は、第2四半期(4~6月)の売上高が2019年の同期間の93~97%まで回復する見込みだと発表した。

傘下に製油事業子会社を抱えている

一部の国で渡航制限が残り、海外旅行をしづらい状況が続く中で、コロナ前の9割超の水準に戻る見通しは楽観的に映るかもしれないが、当社は売上高の8割以上を、移動が比較的しやすいアメリカ国内(Domestic)で稼いでいる。

米国会社四季報 2022年春夏号の111ページを開くと、デルタ航空の業績推移や地域別売上高がすぐにわかる

第1四半期も、国内事業が全体の回復を牽引した。バスティアンCEOによると、3月の1カ月間の営業利益率は10%と黒字化している。第2四半期は3カ月間でも営業黒字に復帰する見込みだという。

本日4月18日に発売された米国会社四季報 2022年春夏号の巻頭特集では、今期予想純利益の増益率ランキングで18位にデルタ航空が食い込んでいる。

ただ、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油高は依然として懸念材料だ。当社には製油事業(Refinery)子会社を抱えているというアドバンテージがあるとはいえ、第1四半期の燃料費は、フル稼働だった2019年の同期間と比べても7%増加した。

中国で新型コロナの感染が急速に再拡大する中、アメリカの感染者数にも若干ながら増加傾向が見られる。国内事業も前途洋々とはいえない。

4月20日以降に最新決算が発表されるユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスやアメリカン航空をはじめ、同業他社の業績動向やCEOの発言も注視したい。

 

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(マーケティング担当、編集者)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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