今「PHEVを買っている人」はどんな人なのか? 購入者データから見えた「PHEV市場」の現在地

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続いて、購入時に手放した車(前有車)のメーカーだ。「現有車メーカー=前有車メーカー」の人は、同じメーカーから乗り継いでいることになる。よって、そのメーカーに対するロイヤルティが高いことが多い。つまり、車検を控えた時期などに、以下の検討プロセスを経る人が比較的多くなる。

(1)買い替えを考えはじめ、具体的な車種の検討に入る前に
(2)いつも通りメーカーAから購入しよう、と大枠が決まり
(3)メーカーAの中でほしい車種をピックアップする

マーケティングの文脈で言えば「再購入意向が高い顧客を獲得できている」状況である。言い換えれば、途切れることなく、同一メーカーから購入する可能性の高い顧客を多く抱えられている状態だ。

現行「プリウスPHV」は2017年にデビュー(写真:トヨタ自動車)

一方で「現有車のメーカー≠前有車のメーカー」が多い際は、いくつかある理由の1つとして「メーカーBにはこれまで興味を持ったことはなかったが、今回購入した車がズバリ欲しかったので」という購入パターンが存在する。この前提を踏まえたうえで、次はPHEV市場を牽引し続けているアウトランダーPHEV、プリウスPHVについて掘り下げてみよう。

革新性はメーカースイッチを引き起こす

次のグラフは、アウトランダーPHEVとプリウスPHVの購入状況をまとめたもので、購入年別に同一メーカーからの乗り換え率を示したものだ。具体的には、アウトランダーPHEVであれば元々三菱車に乗っていた人が、プリウスPHVであれば元々トヨタ車に乗っていた人が、それぞれどれだけ購入しているかを表している。

三菱とトヨタは販売店の数や顧客構造が大きく異なるので、その前提は理解したうえで結果を見ていこう。

まずプリウスPHVであるが、どの年も概ね8割程度の値で推移している。顧客基盤の強いトヨタならではの結果である。

注目すべきは、アウトランダーPHEVだ。デビュー当初の2013年、2014年はそれぞれ三菱車からの乗り換えが4割前後と低い。つまり、新たに登場したアウトランダーPHEVを購入した人の過半数が、他メーカーからの新規顧客なのである。

次ページ前期→後期への乗り換えも
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