今「PHEVを買っている人」はどんな人なのか? 購入者データから見えた「PHEV市場」の現在地

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その後、2015~2018年の“三菱車からの乗り換え”は約6割となり、2019年には75%まで上昇している。

2019年は、2012年のデビュー当初にアウトランダーPHEVを購入した人たちが、2~3回目の車検を迎える頃であり、そこで再びアウトランダーPHEVを購入したため、三菱からの乗り換えが増えたと思われる。

「アウトランダーPHEV」は2015年に大規模なマイナーチェンジを実施している(写真:三菱自動車)

2022年は、フルモデルチェンジした新型の販売がさらに進むと思われるため、再び7割を超えてくるのではないだろうか。車種単体で見れば、アウトランダーPHEVはトヨタ車と遜色ない程度の自社顧客の囲い込みに成功しているといえるだろう。

以上の結果からわかるように、アウトランダーPHEVは苦戦が続いていた三菱の国内市場に、新たな顧客をもたらした優等生である。革新性のある車種の登場は、メーカースイッチを引き起こすと言えよう。

最後に、購入車にあてはまるイメージを見てみよう。ここではアウトランダーPHEVと、同じく三菱のエクリプス クロスPHEVの差分に注目していく。

2車種のイメージを見てみると明確にすみわけができており、細分化され続けながらも人気の衰えないSUVマーケットをうまく利用しながら存在感を発揮できていると言えよう。

BEVシフトの中でPHEVはどうなる?

EUのCO2排出基準は、2026年までに50g/km未満、2026年以降はゼロとなっている。つまり、ハイブリッド車だけでなくPHEVもこの基準には抵触することになってしまう。

アメリカではバイデン政権になってから、2030年までに新車販売の50%をゼロエミッション車(ZEV)にするとしている。ZEVに該当するのは、BEVとFCEVに加え、PHEV(ただしEVモード走行時)という定義が一般的だ。ただし、アメリカでこの先ZEVにPHEVが含まれるかは不透明である。

さまざまな思惑により急加速している“脱エンジン車”であるが、非化石燃料由来で発電された電気で充電しなければ、走行のために必要なCO2はなかなか減らない。

BEVやPHEVに乗りたいと考える人は多くても、「乗りたいクルマがたまたまEV/PHEVだった」という話はまだ聞いたことがない。パワートレイン先行の議論から抜け出した先で、PHEVはどういった立ち位置にあるのか、その未来を早く見てみたい。

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三浦 太郎 インテージ シニア・リサーチャー

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みうら たろう / Taro Miura

北海道大学大学院理学院卒業後、インテージ入社。自動車業界におけるマーケティング課題の解決を専門とし、国内最大規模の自動車に関するパネル調査「Car-kit®」の企画~運用全般に従事。

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