インフレ迫るいま「株式投資が強い」と言える理由 「資産形成にとって恐れるべきリスクの1つ」
無視できないインフレの長期リスク
近年、とくに日本では物価上昇、すなわちインフレがほとんど生じてきませんでした。したがって、インフレのリスクを意識する人は少ないでしょうが、長期的な観点で考えると、インフレは資産形成にとって最も恐れるべき重大リスクの1つです。
歴史的に見ると、物価が低位安定する時期が比較的長く続く一方で、短期的に物価が高騰する局面がときに出現します。そうした意味からすると、ここ何十年かインフレがほとんど生じてこなかったからといって、長い目で見たときに今後もそのリスクを無視することはできません。
ここ数十年の間、世界的にみて、経済や金融には大きな構造変化が起きていました。その要因にはいろいろなものがありますが、結果として超がつくほどの金余りと低金利がもたらされたのです。もちろん低インフレ化も、この構造変化と密接にリンクしています。
低成長下であり余ったお金はモノに向かわずにインフレ圧力が消え、金融市場に流れ込んで金利低下をもたらし、さらには、かつての基準からするとかなり割高となった株価をさらに押し上げます。
そしてインフレ率の低下は金融政策を緩和気味に推移させることを可能にし、一層の金余りと金利低下を促します。それがずっと続いてきたので、投資家はインフレを懸念することなく投資を続けることができました。
ところが現在、脱炭素化をめぐるさまざまな調整圧力、コロナ禍からの経済回復に伴う供給制約、グローバルなサプライチェーンの見直しなどから、世界的にインフレ圧力が急速に高まっています。
ここ数十年続いてきた低インフレの時代が、大きく変わり始める兆候が表れているのです。ウクライナ危機は、その潮流の変化を強力に後押しする出来事です。さらに、ここに来て急速に進む円安によって、日本にもインフレリスクは着実に忍び寄ることになるでしょう。
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