成城石井の上場計画がこれほどまで話題になる訳 単に「高級スーパー」と思っていたら本質を見誤る

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本物志向で妥協しない人たちに対して、いいものをいかにお値打ちで出せるか。商売としては、これが問われ続けたのだ。高級なものを扱おうとしたのではない。

「お客さまが求めるものに、お客さまの期待に、どうやって応えることができるか。それをずっと考え続けてきたのが、成城石井でした。本当においしいものをお客さまに提供するためにできることをとことん突き詰めることこそ、成城石井のDNAなんです。そこで妥協は許されない。それでは成城のお客さまには、認めていただけないからです」

変遷を経て今はローソンが親会社に

そしてこのDNAをそのままに、少しずつ店舗が拡大していった。成城石井ブランドが広く知られるようになれば、幅広い顧客から期待が高まる。成城石井を作り出したのは、実は顧客だったのだ。顧客が求めるものを追求してきたら、今の成城石井になったというのである。

今回の上場のニュースで、成城石井の親会社がローソンだったことに驚いた人も少なくなかったようだ。実は2004年、スーパー成城石井の礎を築き、繁盛店に仕立てあげたオーナーが、成城石井の株式をベンチャー企業に売却した。

成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?
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だが、親会社とのシナジーは生み出せなかった。何より親会社の持っている食のイメージと、成城石井のイメージが合致しなかった。その後、親会社はファンドのアドバンテッジパートナーズ、さらには三菱系のファンド丸の内キャピタルが設立した新会社へと変わる。さらに2014年、三菱商事グループのローソンが親会社となった。

ローソンは子会社化した直後から、成城石井の経営体制を変更しないことを宣言していたが、その通りの関係が続いている。成城石井ブランドなどの事業基盤を重視しながら、成城石井と協業関係を築いてきた。成城石井の近年の躍進の背景には、親会社との良好な関係も大きいだろう。

かつて親会社を持たなかった時代、その高収益、高成長ぶりからIPOがたびたび噂されてきたのが、成城石井だった。スーパー業界における超注目株となることは、まず間違いない。

上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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