成城石井「ピスタチオスプレッド」激売れの舞台裏 発売1年経っても売れ続けている理由はどこに
ピスタチオを使ったスイーツが、最近増えている。近所のコンビニを回ったところ、セブン‐イレブンでは、森永乳業のピノのピスタチオ味やプライベート・ブランドのクッキーが並ぶ。ファミリーマートではプリンが、ローソンではなんとロッテのアイスクリームコーン、井村屋のケーキアイス、シューアイス、と3種類もアイスがあった。
こうした中、昨年ごろから爆売れしているのが、成城石井のイタリア製「スタチオスプレッド」だ。2020年4月に発売されたスプレッドは971円と安価ではないにもかかわらず売れ続けており、2021年前半も同社のレトルト食品や調味料といったドライ加工品部門で6000品目中1位を獲得。「ドライ加工品では異例」というほどの大ヒットとなっている。
「パンに塗る」以外の使い方があった!
当初、同社は「パンに塗る」といった”普通”の使い方を想定していたが、SNSではユーザーがドリンクや和菓子を作ったり、アイスクリームに載せたりとさまざまなレシピを紹介。テレビや女性誌などでも紹介されているほか、「奥さまが買ってきて冷蔵庫に入れていたら、旦那さんがハマってしまって、実は1週間で1ビンなくなってしまう、というお客さまもいます」(バイヤーの坪井元課長)。
同社の「ピスタチオ旋風」はこれで終わらない。ポリコムのスプレッド人気や他社製品登場を受け、5月24日に自社製造の「成城石井自家製ピスタチオプリン」も323円で発売。こちらもデザート部門第1位、発売1カ月間で約16万個を売るヒット商品となった。
実はピスタチオの扱いは容易ではない。「ピスタチオのペーストを多くし過ぎるとプリンが固まらず、中まできれいに焼けないのですが、分量を限界まで増やし、しっかりピスタチオの味が楽しめるようにしました」と坪井課長は話す。
スプレッドにも越えるべきハードルがあった。坪井課長は「以前から海外の展示会で、ピスタチオの加工食品は非常に魅力的だと思っていたのですが、これまではほぼ扱っていませんでした」と話す。ピスタチオなどのナッツ類は、アフラトキシンという自然由来のカビ毒がつくことがある。日本の食品衛生法では、輸入時の検査で規制値を超えると流通ができなくなるため、取り扱いが難しい食品なのだという。
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