「アメリカの株価下落は長引かない」と言えるワケ 株価は決して金利だけで決まるものではない

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また、物色面では、アメリカ市場で成長株が売り込まれた。これが株価指数ではナスダック総合指数やSOX指数(半導体株指数)の下落率を高くして、日本株でも半導体関連株が冴えない展開となった。

こうした成長株の株価下落の要因としても、アメリカの金利上昇懸念が挙げられている。これは足元のことだけではなく、昨年11月以降、成長株の不振が進んだ局面でも、「金利上昇で成長株は不利」と多くの専門家が念仏のように唱え続けていた。しかし、金利が上昇しても成長株が大きく上昇する局面が生じると、そうした専門家たちは、そんな念仏はまったく唱えていなかったような体で沈黙した。ところが先週には、「念仏大会」が再開されたようだ。

株価は金利だけが決めるものではない

このように市場動向に後追いで迎合した、ご都合主義の念仏は、多くの個人投資家の間に戸惑いを広げているようで、「いったい金利上昇は、成長株に順風なのか逆風なのか、わからなくなった」との声をよく聞く。これでは、混乱地獄に陥れられた個人投資家は「成仏」できまい。

要は、株価は金利だけが決めるものではない、ということに尽きる。昨年11月のテーパリング開始からしばらくは、「景気がまだ脆弱であるにもかかわらず、国際商品市況の上昇や賃金の上昇といった、供給要因によるインフレにより、連銀が緩和縮小を進める」というシナリオが支配的となった。

そのため、収益成長というプラス要因よりも、金利上昇というマイナスの見解が株式市場で重要視されたものと推察される。収益成長期待が弱ければ、とくに成長株がもろい展開になるわけだ。

そうしたインフレ懸念は、エネルギーについては世界の指標であるWTI原油先物価格が3月7日に一時1バレル=130.50ドルの高値をつけたところで最高潮に達したものの、その後の価格は100ドル前後でやや落ち着いている。

一方で賃金インフレについては、物価高というマイナスの側面があるが、雇用者所得の増加というプラスの面もある、という見解が優勢となり、小売売上高や住宅着工の右肩上がり基調に目が向かってきたのだろう。

したがって、インフレの高進による金利上昇より、景気拡大による企業収益の成長という側面が勝るようになって、金利が上がりながらも成長株が買われる、という展開になったと考えている。

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