「ルールを決められると破りたい」ロシア人の本音 あまりに多様なロシア人を束ねるのは難しい

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この「容易に統治できないわれわれ」意識と、「そうであるがゆえに強い調停者を戴かねばならない」という意識は表裏一体であり、プーチン大統領の人気もこの辺にあるのかもしれません。

ただし、ロシアは決してロシア民族だけの国ではない、ということには注意する必要があります。ヨーロッパからアジアまで、北極圏からユーラシア中央部の平原地帯までの広大な国土を持つ国ですから、そこに暮らす人々は実に多様です。

多民族国家ロシア

確かに数の上で最多を占めるのは白人で正教徒のロシア人ですが、次に多いタタール人は、見た目は白人ですがイスラム教徒が多数を占めます。サハやトゥバといったシベリアの共和国には日本人そっくりのアジア系民族も住んでいますし、こうした人々の宗教はチベット仏教であったり、自然崇拝のシャーマニズムであったりします。

さらに、これら多様な人々の間では民族間の結婚も行われるわけですから、「ロシア人とはこういうもの」とはなかなか一概にはいえません。よくいわれるように、民族としてのロシア人(ルースキー)であることとロシア国民(ロシヤーニン)であることはイコールではないのです。

現在のロシア政府高官の顔ぶれを見ても、ラヴロフ外務大臣の父はアルメニア系(しかもジョージアの少数民族であるトビリシ・アルメニア人)、ショイグ国防大臣の父はトゥバ人、ナビウリナ中央銀行総裁はタタール人と、意外なほど多様であることがわかります。

また、ロシアには、旧ソ連諸国の人々が多数住んでいます。特にアルメニア、キルギス、タジキスタン、ジョージアあたりは自国に産業が乏しいこともあって、多くの出稼ぎ労働者がロシア各地で働いています。

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