「ルールを決められると破りたい」ロシア人の本音 あまりに多様なロシア人を束ねるのは難しい

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報道では伝わってこないロシア人の真の姿とは(写真:Andrey Rudakov/Bloomberg)
ロシアによるウクライナ侵攻が始まって2カ月。連日のようにウクライナにおける悲惨な映像を見るにつけ、ロシアやロシア人に対するイメージを悪くしている人がいるかもしれない。が、政府による方針をそのまま国や国民に結びつけることは、さらなる悲劇や差別を生むことになりかねない。本稿ではロシア軍事・安全保障の専門家である小泉悠氏の新著『ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』より、「普通の」ロシア人の素顔に迫る。

「ルール」を破りたくなるロシア人

日本人の大きな特徴といえば、比較的ルールを守ることではないかと思いますが、その正反対にあるのがロシア人です。ただ、これはまったく無秩序を好むというわけではなくて、上から「これはルールです」といわれるとどうしても反発してみたくなる、という反骨心の表れであるようです。

私の印象に残っているのはこんなエピソードです。

少し前まで、ロシアでは徴兵逃れが蔓延していました。最近ではだいぶ事情も変わりましたが、2000年代までのロシア軍では新兵いじめで自殺者が相次いだり、食事や兵舎が酷かったり、麻薬汚染が広がっていたりと散々な有様でした。

その上、戦争となれば戦地に送られかねないわけですから(公式には徴兵は戦地に送らないということになっているが、守られていない)、なんとか息子を軍隊に送りたくないと考えるのが人の情というものでしょう。

徴兵逃れの最も一般的な手段は、医者に賄賂を払って偽の診断書を書いてもらうことです。つまり「この者はこれこれの疾患があるので軍務に耐えない」などと診断してもらうのです。

大体給料1カ月分くらいが偽診断書の相場だったそうで、決して出せない金額でもないですから、一時期は中産階級以上の家庭からはほとんど徴兵に行く人がいないという状況でした。

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