人が動く!組織が変わる!「勝ち組企業」の就業規則 下田直人著 ~社員のモチベーションを引き出す、就業規則の活用法


退社のトラブルで多いのは、「いつまでに退職の申し出をするのか?」「引き継ぎ義務」、そして「有給休暇の消化」だ。いずれも就業規則に明文化し、違反した場合の懲戒や退職金の減額規定を明確化しておけばリスクは低くなる。

有給休暇は労働者の権利であり、退社時に使う権利がある。しかし、有給休暇を会社が買い取るという方法もあるそうだ。買い取り額は日給で換算する必要はなく、「1日5000円」とか「1日1万円」と定めておけばいい。これは企業にとって雇用関係を切り、社会保険料を節約できるメリットがある。退職者も余分におカネがもらえ、雇用保険の失業給付までの期間が短縮される。そして早く求職活動して転職できるというメリットがある。

通勤手当についても面白い実例が紹介されている。通勤手当は、社会保険、健康保険・介護保険、雇用保険・労働保険の計算に含まれるので、遠距離通勤の従業員が多いと会社負担分の金額はけっこうな金額になる。

そこでQ社では沿線の一定範囲(会社に近く、通勤手当が安い地域)に住んだ場合、家賃の半額に加え、沿線加算金7000円を支給することにした。7万円の家賃なら計4万2000円を支給。社員負担は2万8000円になる。

この施策によって、自宅からの遠距離通勤者の疲れが大幅に軽減され、若手従業員から大好評だった。しかも、以前の全従業員に支払っていた通勤手当の合計額と制度導入後の通勤手当と住宅手当の合計額を比較すると、後者のほうが安くなっていたのだ。

そのほかにもリフレッシュ休暇、ワーキングマザー制度、選択出勤制、裁量労働制
などの魅力的な施策が具体的に紹介されている。

金庫の中にしまったまま、何年も放置されている就業規則を読み返し、さらに
本書の知恵を学び、自社の制度に足りないものを補えば、従業員のモチベーションは
確実に向上するだろう。遅効性の施策でなく、やる気になればすぐにできる即効性の
施策ばかりである。

(HRプロ嘱託研究員:佃光博=東洋経済HRオンライン)

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