皮肉なのは、大手行の財務担当者たちも認識しているように、健全性規制当局の要求を満たすために銀行側が株主割り当て発行や留保利益から資本を増やすやいなや、その資金が行為規制機構に吸い取られてしまうことだ。今や罰金の規模は銀行のバランスシートに相当な影響を与え、健全性の回復を遅らせ、融資能力を制限するまでになっている。
そのおカネの一部は、特に英国では個々の顧客に戻っている。しかし、それ以上の額が規制当局自身やその先の各国の政府へと流れている。英国では、かつて罰金で規制当局のコストの一部が賄われていた。よいプレーヤーが負担する料金を悪いプレーヤーが下げ、それにより正のフィードバックループが作り出されていた。だが今日では支払いが巨額になったため、英政府がそれを掌握し、規制当局の運営コストを上回る分の収入は退役軍人の慈善団体へ流されている。
米国では、最終的に誰がカネを手にしたのか公表されていない。だが、最も重要な質問は、この規模の罰金に抑止力があるのかどうかだ。
FCAは先頃、価格決定方針の見直しを発表した。より効果的な制度を構築することは、各行と規制当局の双方に共通の利益となる。その制度は、罪を犯した者が罰せられ、将来に向けて適切なインセンティブが作り出されるものでなければならない。
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