資産10億円築いた会社員がFIREしない3つの理由 「サラリーマン投資家」だからこそのメリット
続いて、「サラリーマンは全責任を負わなくてもいい」というのが2つめの理由です。
不動産投資で成功したおかげで、普通の会社員では会えないような経営者が集まる食事会や交流会に参加する機会が増えました。いわゆる金回りのいい中小企業の経営者が多いのですが、彼らといろいろ話してみて、「この人たちは自分が倒れたらおしまいなんだな」ということがよくわかりました。
会社員は何かあったら会社が守ってくれるし、会社の仲間が支えてくれます。その意味では、経営者よりも従業員のほうが圧倒的に「気楽」と言えるでしょうし、だからこそ投資に充てる「余白の時間」をつくりやすいとも言えます。
経営は結果責任、現場は執行責任です。たとえば、経営者は現場に売上目標の達成など数字を求めますが、達成された数字はあくまで経営の責任です。つまり、現場は自分のやるべき仕事をやるだけでいい。それで数字が達成できなければ、それは経営者の判断ミスと割り切ることができるわけです。
もちろん、言われたことをただこなしていればいいという話ではありません。執行責任を全力で果たす過程で、次の成果や自分の成長につながる学びを得ることがとても大事だと思います。
私も若手時代、たずさわった新規プロジェクトの営業ノルマが達成できずにストレスを感じた際には、全力を尽くして執行責任を果たしたのだから、そこから先は関係ないと開き直りました。そして同時に、なぜこのプロジェクトが失敗したのかを考え、「出口戦略」、つまり、最終の成功イメージを持つことの重要性を学びました。その後、管理職となり、出口戦略の仮説を念頭にプロジェクトを組成する意識を持って仕事に当たった結果、社内アワードを受賞する新規プロジェクトをリードすることができたのです。
中小企業経営者や個人事業主ならではの苦労
ちなみに私は、不動産投資で築いた資産の一部を「フランチャイズ・ビジネス」に再投資しています。妻が社長で私が株主という株式会社なので、私も経営の様子は把握しています。それで実感したのは、従業員に関する事柄がとくに大変ということ。採用や育成、配置、評価、キャリアの出口づくりなど、既存の会社なら当たり前にある仕組みですが、自力で一から設計するのがいかに大変かということでした。
また、このフランチャイズ・ビジネスでは、必要な備品やマニュアルはある程度本部から提供されたものの、税務や労務、法務、マーケティングに関しては、自分たちで書類などを用意しなければなりませんでした。
たとえば、従業員の雇用契約書は自分たちで作成する必要がありました。私も妻も雇用契約書をつくったことがなかったので、不動産投資のチームメンバーであるコンサルタントに社会保険労務士を紹介してもらい、必要書類を作成してもらいました。もちろん、ネットで検索すれば社労士事務所はたくさん出てきます。アクセスするだけなら簡単ですが、そこが当たりか外れかはまったくわかりません。なので、信頼できる人に紹介してもらったわけです。社労士だけでなく、税理士や弁護士も紹介してもらいました。
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