「腹式呼吸=健康」と盲信する人に欠けている視点 「胸式呼吸が悪い呼吸」という理解は間違い

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「腹式呼吸」と「胸式呼吸」と聞いたときの、皆さんの持つイメージはどのようなものでしょうか。それぞれの呼吸で主導している筋肉が、2大呼吸筋のそれぞれであるということから、一見対立しているようにも見えますよね。

しかし、普段私たちはどちらかの方法でしか、呼吸ができないわけではなく、意識して呼吸の仕方を変えない限り、両方の呼吸を行っています。
決して、「腹式呼吸が良い呼吸、胸式呼吸が悪い呼吸」ではないのです。

腹式、胸式、どちらの呼吸も必要不可欠

確かに腹式呼吸は多くの呼吸法でも、スポーツでも、武道でも、発声法としても推奨されています。しかし、それはあるシーン、ある呼吸法のなかでの理想の呼吸法というだけです。日常生活を送るうえでは、いろいろなことが起きます。

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朝、寝坊して遅刻しそうになったら、急いで着替えて何としてもいつもの電車に乗らなければなりません。そのときに腹式呼吸だけで間に合うでしょうか?

起きて、時計を見て、ぼんやりした頭をスッキリさせるのは交感神経。「うわーっ!」と1回頭を抱えたあとに、素早く着替える力を与えてくれるのも、交感神経の興奮とアドレナリンです。

ここまでの一連の作業と駅までのダッシュで必要なのは、すばやく息を取り込むことのできる胸式呼吸です。腹式呼吸の出番は、自分で時間をハンドリングできるときです。生きていくうえで、腹式、胸式、どちらの呼吸も必要不可欠なのです。

奥仲 哲弥 山王病院副院長

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おくなか てつや / Tetsuya Okunaka

1959年埼玉県生まれ。東京医科大学卒業。医学博士。山王病院副院長、呼吸器センター長。禁煙の活動に積極的に関わり、関連書籍も多数あり。小学生や高校生の子どもを持つ父親を対象にした禁煙啓蒙活動も行っている。専門は肺がんの外科治療。「サンデージャポン」(TBS)などテレビでも活躍中。

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