日本人が無意識に「呼吸の異常」に陥る背景事情 過度のストレスや不規則な生活がもたらす影響

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③呼吸様式の異常
  代表的なのが、「起座呼吸」です。横になって寝ているよりも、座ったほうが呼吸するのがラクな状態を指します。

座った姿勢のほうが胸郭(肋骨などで構成される肺や心臓を守る部分)の稼働範囲が広くなり、肺の下にある横隔膜が動きやすくなるためで、気管支喘息の発作時や心不全、肺うっ血のある患者さんにみられます。

ストレスやプレッシャーがもたらす「浅くて速い呼吸」

さて、病的な異常呼吸とまではいかないまでも、現代人は、安静時にも呼吸が浅く速くなる「呼吸過多」が増えているようです。

さらに昨今のコロナ禍では、長期にわたる自粛生活で活動量が低下し、過剰な衛生思考、メディアやSNSで流れてくるネガティブな情報、在宅ワーク等による環境の変化で、いままで以上にストレスが溜まっている人も、多いのではないでしょうか。

私は時々埼玉の病院まで、手術のお手伝いをしに行くことがあります。東京から埼玉に向かう電車は下りなので席はガラガラです。

好きな漫画雑誌を買ってルンルンと乗り込み、吊り広告を眺めたり、風景を眺めたりしながら、到着するまでの数十分の至福の時間を、ゆうゆうと楽しむことにしています。

ところが、乗ってくる人たちを観察していると、ほとんどの人がずっとスマホを見ています。スマホの情報は、高速道路で事故が起きたとか、これからどこかでゲリラ豪雨が降りそうだとか、誰それが金メダルを取ったとか、自分に直接関係のない情報がバンバン入ってきます。

現代では、いらない情報のほうが、こちらを追いかけてきて、つねに情報を知っていないといけない脅迫観念に、つねにかられてしまう……そんな状況が日常になっているのだと思います。このストレスやプレッシャーは、浅くて、速い呼吸をもたらします。

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