売れすぎiPhone6、なぜこんなに好調なのか? シェア急上昇をもたらした3つの理由

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現在のところ、初年度で2000万台前後の出荷を見込む強気の予測もあるApple Watchだが、アップルがiPhoneを持つ人々にファッションを提案し、より深くiPhoneとそれにまつわるアプリやクラウドを深く活用してもらう補助装置となる必要があるだろう。

同時に、将来的には「Apple Watchを使いたいからiPhoneを選ぶ」という動機の逆転を起こせるかどうかが課題である。実際のところ、筆者もそれが起きるかどうかは分からない。

iPad・Macとの関係はどうなる?

3つめは他の製品ラインアップであるiPadとMacとの関係性だ。iPadは、iPhoneの大型化によって、特にコンシューマーレベルでは着実にプレゼンスを落としていくことになる。いくらiPadの画面が大きくても、複数のデバイスより1つの方が購入やランニングにかかるコストは低く、携帯性と満足できる画面の大きさ、というバランスをかなえてしまう。

ビジネスサイドでも、ペーパーレスなどの業務効率化を進めるための情報端末として、iPadよりiPhoneを選ぶ企業が出始めている。

例えば米国を代表するエアラインのUnited Airlinesは、2015年第2四半期までに、2万3000人の乗務員に対してiPhone 6 Plusの配布を開始する。パイロットはiPad Air 2だが、携帯性と充分な大画面の両立が評価された形だ。

一方のMacは、iOS 8とOS X Yosemiteの間で始まった「連係」(Continuity)機能によって、むしろ売り上げを伸ばしていくことになるだろう。双方にインストールされている同じアプリの間で作業を引き継いだり、iPhoneの電話回線に着信した電話をMacで通話したり、まるでMacがiPhoneのアクセサリのように動作するようになった。現在、四半期で500万台の売り上げを誇るMacが、どこまで伸びていくのかにも注目だ。

そして、4つめのポイントは、次のiPhoneをどうするか、ということ。前述の通り、大画面化は「伝家の宝刀」であり、それまでは大画面化がなくても、64ビットプロセッサやTouch ID、カメラ、洗練されたソフトウェア、そしてアプリの巨大なエコシステムによって「売れるスマートフォン」を作り続けてきた。

ここ数年のiPhoneを見ていると、必ずしも最先端の技術をつぎ込んで作っているわけではない。そのためスペックでの発展を追いかける必要はない一方で、大画面化の次に来るインパクトを用意しておかなければならない。

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