M&Aには必ずといっていいほどPR会社2社が登場、バトルを繰り広げる。
「あくまでも友好的な買収提案であるということをアピールしてほしい。決して横やりを入れたわけではないんだよと」
2020年9月。PR会社であるボックスグローバル・ジャパンの元に一本の連絡が入った。相手はニトリホールディングス(HD)のフィナンシャルアドバイザー(FA)。ホームセンター大手の島忠の買収案件に関する相談だった。
その段階で島忠は、同業であるDCMHDによる買収におおむね合意し、TOB(株式公開買い付け)に関して、最後の詰めの段階に至っていた。そこに突如、ニトリが参戦することを決めたのだ。
両社が合意している友好的なTOBに新たなプレーヤーが参戦するなど、過去にほとんど例がなく、誰が見ても横やりを入れたようにしか思えない。そうした見方を覆すのは極めて難しい状況で、ボックスが出した結論は、ニトリの似鳥昭雄会長に記者会見で思いを語ってもらい、株主に訴えようという戦略だった。
似鳥氏に対しボックスは、創業の地である北海道から本州に進出した際、島忠を参考にしてきたといったエピソードをちりばめながら、「島忠に対する熱い思いを語ってください」とアドバイスした。
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