大手といっても特徴はさまざま。組む相手次第で会社の将来は大きく変わる。
熾烈を極める企業買収合戦で、参謀を務めるのが弁護士だ。丁々発止の攻防では総合力が求められ、5大法律事務所に頼らざるをえない。どこに頼めばいいのか。それぞれの特徴を追った。
西村あさひ法律事務所
太田 洋弁護士/内間 裕弁護士
■西村あさひ /2007年(1966年)/713人/旧東芝機械・西松建設(村上系ファンドからの防衛)、東京機械製作所(アジア開発キャピタルからの防衛)
法律事務所名/設立年(前身の設立年)。前身の設立年は複数の前身のうち古いほう/所属弁護士数(外国法弁護士含む)。2月1日時点/最近の主な敵対的買収案件のクライアント(主な内容)(注)社名は一部略称 (出所)各事務所ホームページ、取材を基に東洋経済作成
日本初を連発
「誰もやったことのないチャレンジングな案件を依頼されることが多いし、それを目指している。『アグレッシブ』といわれるのはそのためかもしれない」。そう語るのは西村あさひ法律事務所の太田洋弁護士だ(写真左)。
例えば武田薬品工業が買収したアイルランドの製薬会社シャイアー。買収金額が約7兆円と巨額であるために、現金と自社株を交ぜて買収した。「日本企業が自社株も用いてクロスボーダーで大型買収をしたのはこれが初めて」(太田弁護士)。
焼き肉店「牛角」を展開するレックス・ホールディングスのMBO(経営陣による買収)も西村あさひだ。日本では当時、少数株主から強制的に株を買い取ることはできないとされていた。だが、全部取得条項付き種類株を用いればできる。これも太田弁護士の発案だった。
「法的手段を駆使してクライアントのゴールをどう実現するか。それを考えるのが西村あさひの特徴だ」(太田弁護士)
旧東芝機械(現芝浦機械)では有事型の買収防衛策導入を株主総会で可決。同社株のTOBを準備していた村上世彰氏を退けた。買い付け者が現れた後に事後型の防衛策を導入したのは国内初だ。
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