タカラトミー、ファンドも手を引く内憂外患 定番商品が売れない、海外も芽が出ず
欧米や中国で芽が出ないまま、主力の国内市場でも、流行の激しい玩具業界の宿命を避けられない。タカラトミーでは「ベイブレード」など人気玩具のブームが一巡。2013年3月期には、国内で138人の希望退職を実施し、卸売子会社も再編した。
この苦境は富山社長にとり、誤算だったかもしれない。2012年初めには幹部らを前に「世代交代したい」と語っている。聞いた誰もが、同社に勤める30代の子息への後継を意識した発言、と理解した。ところが2014年6月から新たな右腕として抜擢されたのは、オランダ人のハロルド・メイ副社長だった。ヘッドハンティング会社を通じ選ばれた人物であり、ユニリーバ・ジャパンや日本コカ・コーラでマーケティングを担当。在日期間が長く、日本語も堪能である。社長の右腕となったメイ副社長が推し進めるのが徹底した構造改革だ。
同年10月に断行した組織再編では、「幹部の平均年齢が5歳若返った」(メイ副社長)。大和証券の田中聡アナリストは、「工場や物流のムダを削り、浮いたキャッシュを攻めの戦略に振り向ける、わかりやすい戦略だ」と評する。
商品を選別、聖域なき構造改革
メイ副社長に聖域はない。たとえば1026商品を展開するトミカについては、「利益の90%を占めるのは365品」とのデータを明らかにし、商品の選別をにおわせた。今後は本社人員の4割近くを占める管理・サポート部門を、企画・開発部門へシフトさせる方針だ。海外事業も統括しており、海外の成長とグループ全体のテコ入れという、二つの重責を担う。
経営パートナーをファンドから外国人経営者へと替えたタカラトミー。老舗玩具会社は今度こそ、難局を乗り越えられるだろうか。
(「週刊東洋経済」2015年1月10日号<5日発売>の「核心リポート04」を転載)
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